新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

プロ野球のポスティング制度の決着が遅れる

2013-11-16 08:01:02 | コラム
解ってくれていると思っていた:

これは松原事務局長とやらが言ったことで「アメリカのMLB側はこちらで決着が長引いている理由を承知してくれていると思っていたのに」と、嘆いて見せたことを採り上げたもの。私には今ここで「彼がものを知らないこと」であるとか、「文化の違いを弁えていないこと」を非難も批判をもしない。むしろ、そこを承知して交渉できていたのだったら拍手喝采であるとすら考えている。

何度も言ってきたことだが、アメリカ人との交渉事で「言わなくても解ってくれているだろう」とか「我々の気持ちを察してくれているのだろう」は絶対にと言って良いほど、あり得ないのだ。私は彼が「我が国ではマスコミが結論を出すのに手間取っているとうるさいほど報じているので、MLB側はその情報を見ていて遅れている事情を解っているだろう」くらいに考えていたとしても驚かない。20数年間に何度も経験してきた「文化と思考体系の違い」のほんの一例であるから。

解説は、先ず自分の事業部内のことから始めよう。私が本部に合意して貰った原則は「相互に引き合いと問い合わせに対する返信に対して“原則は即日回答”で、出来ない場合は“出来る日時を指定し、出来ない理由を説明する”こと」だった。また、「即日返信を要求しない場合には回答期限を予め通告する」事としてあった。社内でさえこういう取り決めが必要なのだ。実は、この原則を他社に対して適用しても、別段非礼でも何でもない。ただ単に普通に「ビジネスライク」であるだけ。

因みに、ジーニアスには"businesslike"は”「てきぱきとした」であり、日本語のビジネスライクと違って「冷たい」という含みはない”とある。ここには、問い合わせの文書の(emailにか)文末に!"Looking forward to hearing from you."だとか"We will wait to hear a good news from you."と書いて「一向に返事が来ない」と嘆くのと同じ勘違いがあるのだ。先ずは「回答期限は何日の何時までに願う」と言わねば、反応しないのが彼らの文化である。NPBは「何時まで待って」とだけ言っておけば良かっただけではなかった。

MLB 側も「NPBからの回答が遅れたから」を再度変更の理由に挙げていた。だが、もしも文化の違いをある程度心得ていれば「何時になれば答える気か」くらいは照会しただろうと思う。私はこの一件は「両方に意図的ではない反則行為があったので、反則無しとしてゲーム続行」が妥当だと思う。だが、日本側はここで思い切って反論しないと「自ら反則があったと認めたのと同じ」になってしまうのが、彼らの思考体系であり、ビジネスの進め方なのだ。


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