新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

12月18日は

2016-12-19 08:31:38 | コラム
フットボールの試合観戦で多忙だった:

先ずは午後1時5分からの甲子園ボウル。妙な試合開始時刻だが、恐らくNHKの放送開始に合わせて5分ずらしたのだろう。何と言って、もアメリカではフットボールのテレビ中継用にCMの為に「TVタイムアウト」があったくらいだから、NHKに協会が譲ったかと解釈した。

甲子園ボウル:
今年の対戦相手は関西学院大学ファイターズと早稲田大学ビッグベアーズ(大隈重信氏の名字に因んでいるとか聞いている)だった。早稲田には申し訳なかったかも知れないが、最初からこの試合は関学有利と決めつけてみていた。理由は簡単で、関学のフットボールのしぶとさと巧妙さと、最後に強さは尋常ではないと承知しているからだ。

早稲田は昨年の関東制覇以来高校選手権を連覇していた早大学院から上がってきたその学院の監督だった浜部監督子飼いの選手たちを中心にして、めっきり力を付けていたとは認めるが、私の関心は関学を相手にして何処までやってみせるかにあった。従って、この試合に限っては得意の「閃き」はなかったのだ。

早稲田は多くのスペシャル・プレーを仕込んできていたし、私などは初めて見る独特のラインのセットの仕方(細かく言えば、通常は最前線に7名いるはずのラインメンは相撲の仕切りにも少し似た形で地面に手をついているのだが、早稲田はデイフェンスラインでは1名だけしか手をついていないという変わった形を見せてくれた)等々で関学を幻惑する戦法に出てきた。

私は確かに早稲田は善戦健闘して関学を悩ませていたと思うし、果敢に攻めてタッチダウン(TD)も2本を獲得して見せた。だが、結局は力足らずして敗戦となってしまった。私は第2クオーターにQBの笹木(学院出身)が自陣のエンドゾーン近くのオフェンスで突入してきた関学のLBに追い込まれて苦し紛れに、絶対投げてはならない局面でパスを投げてしまい、それがインターセプションの憂き目に遭ってTDとなってしまったところで「勝負あった」と判断した。

あの場面で思い出したことがあった。1983年に初めての甲子園で見た五連覇中の日大フェニックス対京大ギャングスターズの試合だった。同じように日大のQBがプレッシャーをかけられて苦し紛れに投げたパスを名前まで覚えている京大の深掘に捕られて試合のモメンタムを失って負けてしまった時のことだった。あの場面は多くの専門家に聞けば「絶対に投げるべきではなく、その場で転んでしまえば何ヤードかのロスで済むもので攻撃権を失わないのだ」そうだ。

あのインターセプションと位置も局面も非常に似ていたと思った。笹木は第4クオーターにも投げてはならないとしか思えない局面で投げて、またもやインターセプションに遭っていたが、私は学院からのフットボール経験者にしては判断が悪いと思った次第だ。私はこのQBの判断のミス失敗を敗因の第1位に挙げたい思いだった。

FIFAクラブW杯決勝戦:
鹿島アントラーズと全国のサッカー支持者には申し訳ないが、私は閃く前に鹿島の勝利はないと思いつつ何とか私の予想が外れてくれることを希望しながら観戦していた。鹿島が良くやったとなどと言う前に、力の差は如何ともしがたかったと言う前に、もしかしてこのまま2対1で逃げ切れるかとほのかな希望を持たせてくれた鹿島の選手たちには感謝したい、心から。お陰様で90分間は「もしかして」と楽しませてくれたのだから。

90分間と言ったのは、延長の30分間で力尽きて解説の岡田武史氏が試合の前半に「ロナウドは大したことはないじゃないか」と言わしめたほど、彼をその間に抑え込んでいたからである。私も既に指摘したように「矢張り彼は周りが上手く使ってこその年俸90億円で、自力で相手を蹴散らすような選手ではない」と、鹿島の昌子を中心にした守備に懸命な働きを評価していた。

しかし、彼らの競り合いの強さ、動きながらのパスの速度の速さと正確さ(この点は岡田氏だったか都並だったかが指摘したように鹿島のパスの速度はこの試合に入ってからは非常に速くなってきていたのは良い傾向というか進歩だった)、ヘデイングでの正確なフィード、こぼれ球(バスケットボールならば「リバウンド」か)に対する寄せの早さ等々は流石に世界最高の選手たちを世界各国から集めてあっただけのことがあると思って見ていた。我が国のサッカーと対比すれば一日の長どころではなく十日ほどの長があると思った。

そのレアル・マドリードから2点を取った柴崎も見事だったが、「彼が我が国のサッカーとは10年の差がある」と述懐したのも尤もであると思った。私はただ単に敗戦を残念がるだけではなく、落ち着いて回顧して我が方の弱点に言及する辺りに彼の良さを見る思いだった。何れにせよ、あのレアル・マドリードを相手にして後半には1点のリードを維持して彼らの目の色を変えさせたのは大変なことで、我が国のサッカーの行く手に明かりを灯してくれたものと高く評価したい。

岡田武史氏は後半の終わり頃に「これはひょっとするかも知れない」と漏らしたが、私も本気で「そのひょっとするがあれば良いが」と念じていた。鹿島は偉かった。良くやってくれた。

最後に余り言いたくはないことだが、レフェリーの笛には疑問が残った。岡田氏も「あれはカードを出して2枚目で退場にするべきでは」と指摘したキャプテンのセルヒオ・ラモスの当たり方への判定はおかしかった。岡田氏は「審判が遠慮したのか」とまで言ったが、あの判定は後味が悪かった。彼はカードに手をかけていた。だが、今更審判の質や判定を云々しても仕方がないことのように思える。