新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

10月15日 その3 アメリカ国内の米価 #2

2016-10-15 09:18:38 | コラム
米価を良く分析して考えよう:

昨日の「アメリカ国内の米価」を更に補足致します。先ずお断りしておきますが、私は輸入の担当者でも専門家でもありませんでした。

こレから述べるようなことまで考慮しないと、真の国産米対輸入米の経済的比較にならないと存じます。このような我が国の貿易に関する規定の細かさを、アメリカ側が「非関税障壁」というのも解らないではありません。そこが我が国の貿易管理令が基本的に輸出入は禁止だが、例外として認める場合があるという精神で貫かれているからだと思います。先生には釈迦に説法かと危惧致しますが、20年以上も戦ってきた法律ですので、言いたくもなります。以前にも指摘したことですが、牛乳の容器はガラス瓶とするという省令があり、現在のような紙パックは「例外容器」としてのみ認められていた時期があったのです。今や「例内容器」を探すのは大変でしょう。

輸入品のコスト分析:

念のため申し添えておきますと、アメリカの小売業者(恐らく大型のGSMでしょうが)がどれほどの利益率で店頭に出しているかは解りませんが、それが仮に15%であったとして、その原価日本に出そうとしてもその他に輸出梱包と港までの内陸運賃がかかります。その上に港湾荷役料と海上運賃がかかります。それがC & F価格です。そこに輸入者が保険をかけますし、日本の港での通関費用他の諸掛かり、最短でも数週間の保管料と輸入業者の立て替え金利に小売業者の倉庫乃至は店頭までの国内運賃がかかります。

普通の場合、商社や自分で輸入する需要者は自社倉庫等に搬入するまでの経費を、C I F価格の1.13~1.15倍(関税無しとして)にして原価計算します。これだけの経費は避けられません。それでも、国内に流通する米価よりも格段に安くなるとは、私の経験では考えられないのです。民進党等の代議士先生(中には玉木だの何のと財務相出身者も経産省出身もいます)がこのような実務をご存じでないはずはないと、一応敬意を表しますが・・・。自民党でも承知している実務経験者がいるのでしょうか。

もっと言えば、米の輸送をコンテイナーにするのか、バルク(=bulk)と呼ぶバラ摘みにしてくるかで、コストは変わりますし、便利さも変わります。また、肝腎な事は米のような食料品は、事前に機械油の臭気が残るような機械類や飼料用の干し草等を積んだコンテイナーの後には積めません。まず、内部に残った臭気が包装を通して米に移ってしまいますから。

カリフォルニア州ならば、日本からの輸入も多く無臭のコンテイナーを選択できますが、ロッキー山脈以東の内陸には日本からの輸入品が少なく、コンテイナーを選べる余裕がなく、経費をかけて完全洗浄しない限り食料品の輸送には使えないのです。これは船社では常識ですし、輸出者も先刻承知です。私はそれ故に、アメリカの業者が米の輸出をする気ならばカリフォルニア州以外になく、内陸の産地からはコスト倒れになると思っています。我が国の需用者が機械油その他の臭気がついた米を、仮に国産米よりも安いからと言って買いますか?

この辺りが私が「実務を経験していない人に何が解るのかなー」という根拠があります。我が国の消費者と中間に介在する業者の厳格さはアメリカ人には解りません。何かを軽率に臭気が残った箱に積んで大クレームになって初めて解った事です。私は一度その臭気の事故で、工場から来た技術者と何十個ものコンテイナーの内部の臭いをかがされた事がありました。そのクレームの原因は、良かれと思って内部を洗剤で洗った上に、新たに塗装したペンキから溶剤の臭いがでたのでした。

以上、ほんのご参考までに、何事についても世界で最も厳密な受け入れ基準を設定している我が国のお話のご紹介でした。

販売店乃至は小売店の利益を加算すべし:

先ほどの言わば輸入米の「コストブレークダウン」には、我が国で何処かが販売する場合の利益が含まれていません。私は大規模・中小規模を問わず、彼らが何㌫の利益を取っているかは知りませんが、国産米と比較する場合にはそれを忘れてはなりますまい。また、金利は絶対に忘れてはならない要素で、通常は現地(即ち、アメリカ)では本船が出航後に書類一式(インヴォイスやB/L等で、ドキュメンツと言います)が揃い次第、商社の現地の支店等に渡して即現金決済するか、輸入者宛てに即刻郵送して、受け取り次第現金送金で決済します。

本船はアメリカ西海岸から通常2週間で日本の港に到着しますから、どんな事があっても立て替え金利は発生します。ましてや、商社の現地の支店から本社にドキュメンツを送り、更に需要家に請求するとなると、簡単に30日分の金利が発生します。しかも、商社の口銭などは余程の事がない限り(輸入代行等の場合は)1~3%程度ですから、金利や為替の変動分の負担などのリスク負担などあり得ないのです。

こういう手続きを経るのに、輸入米が安くなるという計算が何処から出てくるのでしょうか、私には理解不能です。為替が¥120が¥100くらいに円高になっても、末端価格が直ぐに下がる事なあり得ません。そんな事をしたら、高い為替の頃に輸入して在庫になっていた分は誰かの大損になるだけ。輸入ってそんな生易しい商売ではないのですがねー。


10月15日 その2 ニッポンハムが日本シリーズ出場に近付いたかな

2016-10-15 09:04:52 | コラム
監督の器量の差かな:

昨14日夜の「何も閃かなかったパシフィック・リーグのCSファイナルステージ第3戦をあらためて振り返ってみよう。勝因の一つに予想以上であり千賀以上でもあった有原の好投があったのは「ヒーローインタビュー」(言うまでもあるが文法的に誤ったカタカナ語の筆頭格である)に最初に呼ばれたことからも明らかだ。次には、私は栗山監督が当たっていない田中賢介を9番に下げたことを挙げたい。近藤健介を5番に上げたからこそ先取点に繋がったのだ。決して3番手ではないが、レアードのホームランが試合を決めたと言って褒めても良かっただろう。西川の先頭打者で11球も投げさせたのも勝因の切っ掛けとなっただろう。

工藤監督の先取起用の失敗だと思うことは、前夜に代打に使って貴重な死球を取った年俸2,500万円の福田を出して、DHでヒットも打っていた2億円の長谷川を引っ込めるような、ハリルホジッチ監督も裸足のような使い方をしていた辺りだ。千賀の先発での起用は今年の大飛躍から見れば不自然ではないが、彼も未だ年俸2,500万円±の域に止まっている善くぞ育成から這い上がってきた投手なのだ。荷が重すぎたから、先頭打者の西川に11球も投げさせられて四球を取られてしまったのが大きかった。

ニッポンハムは大谷と中田が封じ込められても、近藤や陽やレアードがここぞという時に打つのだから、ソフトバンクの投手たちが如何に前述の2名を抑えるところまでが精一杯だったのだと思わせてくれた。ソフトバンクは意外なほどニッポンハムの投手に抑えられてシリーだけで3割を打てているのが中村と内川のみでは、3試合計で5点しか取れておらず、テイーム打率が0.196では仕方が無いだろう。柳田が負傷上がりで不振なのは仕方がないという見方もあるかも知れないが、私は故障するのはそれだけ未だ至らざるところがある選手だと決めつけたい。

アメリカが発祥の地である球技では「モメンタム」(=勢いか弾み)が左右する嫌いがある。その上昇気配と下降気味で勝負を決めるのだが、目下のソフトバンクには勢いがない。だが、モメンタムというものは先が見えないもので、何時如何なる切っ掛けで蘇ってくるかは解らないのである。ソフトバンクも本日の先発投手である2億5,000万円±のオランダ人のバンデンハーク(RICK van den HURK)が好投してニッポンハムを失速させることだって無きにしも非ずではないか。

私が理解出来ないことがある。それは大谷もそうだし、今や日の出の勢いであるDeNAの四番打者の筒香も左投手の外に流れるボール球のスライダー(なのだろう)に弱いことだ。右打者もこの手の投球に弱いが、あれほど無為無策にやられてしまうことは彼ら左打者よりも少ないという印象がある。そういう対策を練る練習が出来ていないのか、それとも左打ち特有の生理的欠陥なのか。何方か教えて下さい。

なお、昨夜の中継はテレ朝で解説が当方の評価する里崎にごく普通と見る稲葉で聞きやすかった。一昨日はこれも信用する宮本慎也をNHKが使ったのは評価できる。最も詰まらないのが第1戦のNHK御用達の小久保全日本監督だった。日テレなどは皆読売の回し者で、過去に巨人に在籍した者の第2か3の職場であるから、まともな解説など期待できないと極端に割りきっている。因みに、本日の試合は午後2時からで中継はテレ朝である。だが、解説者は知らない。

選手の年俸の資料: ベースボール・マガジン社刊 「プロ野球名鑑 2016」

10月15日 Bob Dylanがノーベル賞を受賞

2016-10-15 07:49:18 | コラム
Robert Dylanがノーベル文学賞受賞:

こういう名前の(大)歌手がアメリカにいるくらいは承知していた。しかし、私が嫌いな部類の筆頭に近い種類の歌の歌い手なので、全くと言えるほど関心がなかった。「風に吹かれて」と題された大ヒット曲があるとは承知していたが、この度の受賞騒ぎでテレビで流されて初めて「聞いたことがあるな」と解った程度の認知度である。良く知らない人が歌い且つ受賞したのである以上、判断材料の手持ちもなく何の感想もない。敢えて言えば「スエーデン人は意外なことをするものだ!」くらいか。

いきなり余談で申し訳ないのだが、その原題が”Blowin’ in the wind”と知った途端に解らなくなってしまった。どう無い知識を絞って考えても、ジーニアスとOxfordで確認しても、「風に吹かれて(または「た」)」とは訳せなかったのだ。「風に吹かれた中で何かを吹奏したのか、彼が演奏乃至は歌っている」と思えるのだが、恐らく英語の映画の題名を翻訳するような感覚でLPかCDが良く売れるようにしたかった和訳だと受け止めて批判は避けて、「流石!」と感心するに止めたい。

今回もまた村上春樹氏の受賞がその熱烈なファンとマスコミに待望されて「その時に備えた準備が進んでいる」と報じられていた。私は2年ほど前に国文学者のKS氏の講演で村上春樹氏の受賞はないだろうと聞いたし、その解説が説得力があったので、文学賞がBob Dylanになってしまったと聞いた時にも驚きも何もなかった。だが、日本人が受賞を逃したのは残念だった。そこまでである。

終わりに本題を離れて英語の講釈を。”Bob”と書いて「ボブ」か「ボッブ」とカタカナ表記にするのは違和感がある。どの辞書を見ても発音記号は強いてカタカナ書きにすれば「バーブ」となっているが、勿論「ボブ」もある。Oxfordには丁寧に北米の英語では「バーブとなる」と説明されている。だが、「ボッブ」ではない。

私は何もアメリカ式発音の信奉者だから言うのではないが、英語などで話す時があれば、せめて「バーブ」の「バー」にアクセントを置いて「ブ」は”bu”ではなく、「ブ」はローマ字式の”bu”ではなく、母音を除いて軽く”b”だけで発音してくれると良いなと願いたい気がするのだ。因みに、Bobは"Robert"のニックネームである。さて、これの発音は「ロバート」か「ラーバート」か。辞書を引いてみよう。