新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

ハリルホジッチ監督は韓国人審判の笛に救われた

2016-10-07 15:01:29 | コラム
私の期待を裏切らなかった我が国の代表選手たち:

6日夜のW杯サッカーの最終予選、対イラク戦での我らが代表の出来は期待を裏切らなかった。これは非常に残念且つ遺憾なことだった。如何にFIFAのランキングなるものが当てにならないとは申せ、相手は128位で、我が国はお恥ずかしながらその半分以下の56位である。格下を相手にして軽く遊んでやって5点でも取っていてもおかしくないほどの差があって然るべきだった。ではあっても、あの勝ち方でも、勝った方が強いのだ。

昨日は想定外の忙しさがあって疲れが出て、遠征(?)先の藤沢から戻って夕食を終えた時点でウトウトして、気が付けば最早キックオフの直前となっていた。そこで、グラウンド(古き良き時代の日本語で、今やピッチ=pitchであり、UKではこう言うらしく、アメリカでは”field”らしいが)に出ようとする顔ぶれを見ると何としたことか柏木がいた。「監督さんは又しても未経験者を『絶対に負けられない試合』とアナウンサーが声を張り上げる試合にこんな中途半端な者を使う気か」と意気阻喪させられた。いや、期待通りかなと思わせてくれた。

確かに、このところドイツでも不出来な香川を外しただけあって清武は1点目となった際の上がりは良かったし、原口も良いところに詰めていたし、GKの股の間を抜いたシュートも上手かった。だが、ここで私は不吉な予感がしたのだった。それは先に点を取ると、妙な逃げ切りを策して結局は追い抜かれた前例があったからだ。昨夜も「そうならねば良いが」と願っていた。だが、本田を始めとして「ここぞ」という時にシュート綺麗にを外す特技を見せて最後の最後まで2点目が取れなかった。岡崎も不発だったし、清武君の最初のシュートなどは見事にGKの正面に行ってしまう有様だった。GKは2.44 m×7.32 mの空間に1人で立っているのだから、狙える隙はいくらでもあるのに。

昨夜も指摘したが、明らかに世代交代がいくらかでも効果を発揮したのだった。原口は当方の期待する者のリストには載せていなかった兵六玉のような選手だったが、今や次代の一部くらいは担えそうに成長してきたのは、監督さんの数少ない成功の人事の一つだろう。だが、彼も未だ使われているだけで、とても日本代表の中心選手ではない。きつい言い方をすれば、本田や岡崎にマークが行っている隙間を縫っているかの感がある。私はこの監督さんの人を見る目は節穴に近いと評価している。そうでなければ、柏木を出すような間抜けなことをするわけがあるまいし、またもや川島を復帰させるようなGK陣の無駄遣いはないはずだ。

監督さんはマスコミ人事に惑わされているらしく、U-23で一寸成功した浅野を切り札のように使ってくるが、彼は「絶対に負けられない試合」で経験を積ませるような域に達していない、単なるな足が速いだけの素材に過ぎない。そんな無茶をする気ならば、岡崎をじっくり復調させるか、香川を勝負勘が戻るまで使う方が短期的に結果が出るのではないかな。昨夜の浅野を見ていれば右往左往の無駄走りだけだった。また、本田君は以前から指摘してきたように「何をすべきか」を完全に見失っており、マスコミがトチ狂って言う「日本のエース」の時期は去ったと見ている。

貶してばかりいるのが本稿の趣旨ではないが、褒めたくても心から褒めてやりたい出来の者が不在では致し方ない。また、昨夜指摘したイラクだけではない中近東勢独特の「三味線弾き」作戦(=痛くも何でもないのに転げ回って時間を潰しに行く作戦)は昨夜の韓国人審判の笛の下では全く効果を発揮しなかった。当方も後半45分が過ぎても一向に試合が終わらないことを訝っていたと同時に「これで引き分けに終わってしまえば、恐らくハリルホジッチ監督は解任だろうし、もう不安な気持ちで観戦しないでも済むか?」と妙に矛盾した期待と「まさか格下に引き分け?」との不安感を抱いてみていた。

ところがである。韓国の審判は何とあの三味線作戦を所謂「ロスタイム」として計算されて、我が代表に6分もの「執行猶予」をお与え下さったのだった。あの審判は比較的甘めで、体当たりや足を引っ掛ける行為を反則に取らず、寧ろ意図的な遅延行為にカードを出すなど、やや欧州型の笛だったことがハリルホジッチ監督に幸いしたようだった。あの山口のペナルテイーエリア外(だったか?)のこぼれ球をヴォレーシュートで綺麗に決める決勝点を残り1分もない時点で生み出してしまったのだ。

私は常に「勝った方が強いのだ」と言ってきたし、精神力も大いに勝負を左右するが、所詮は弱いものが負けるという大原則は不変なので、昨夜の勝ちはランキング通りだったと言いたい向きもあるだろう。だが、あの勝ち方というか試合運びと、中心選手を欠く(ゲームメーカー不在という意味)構成では次のアジア一の乱暴なサッカーを展開するオーストラリアとの対決は極めて不安である。「絶対に負けられない」と言うのであれば、香川、岡崎、本田、長友等が原口に負けないようにと最後のご奉公だと奮起する以外に何かあるのか。酒井宏樹辺りカード累積での欠場などは何でもないことだ。長友だって呼んであるではないか。監督さんは酒井の方が長友よりも上手いとでも評価しているのか?