新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

錦織圭君の英語

2014-09-08 16:15:27 | コラム
揚げ足取りと言われるだろうが、矢張り言っておいた方が良いかと思うので:

私は以前にも「一聴すれば流暢な native speaker 並と思える錦織君の英語」を批判したことがあった。今回はジョコビッチに勝った後の言わば勝利者インタビューが、有り難いことにAWACSによって配信されて聞けたし、テレビでも再三再四流された。

本8日の昼頃にはTBSで、スポーツ評論家の玉木某も「あのように試合後の感想を自分の言葉で英語で語れるのは素晴らしい」と賞賛していた。かぎ括弧内については私といえども異議は唱えない。

私は彼の声が元々英語向きであると思っていたし、あのインタビューの音声はほとんど現地人並の発声であり、結構なことだと評価する。また、発言の内容は言いたいことがあの試合後の興奮状態にあってもキチンと表現出来ていたのは立派だったと思う。我が同胞であれほど滑らかに言いたいことを淀みなく言える方は少ないので、彼は我が国の学校教育の影響を受けてていなくて良かったと思う。

何だ、それでは褒めているではないかと思わないで戴きたい。ここから問題だと思うことを挙げていく。それは、"you know" を過剰に挟みすぎることだ。これは「"you know" を沢山話しの中に入れることは、貴方が『有能』であることを示すことにはならない」と、これまでに何度も指摘したことで決して褒められないのだ。止めた方が良い。

次は彼がコーチのマイケル・チャンについての質問があった時に "him and Dandy ~" (と聞こえたが、思うにチャン氏以外のコーチを指していたのだろう)という言い方をした。これは一部のアメリカ人がよく使うもので、正しくは "he and ~" であろう。理屈を言えば"him"は目的格であり、動詞と前置詞の目的語に使われるものだ。

察するに、彼は13歳という中学校での英語教育を終えずに出掛けていったので、さぞやアメリカで苦労に苦労を重ねて実際に使える英語を身に付けたのだろう。あの語り方を聞けば解るが、彼の地では所謂「日常会話」以上の能力を身に付けてごく普通に生活しているのだろう。だが、遺憾ながら "him" のような表現を何の違和感もなくそのまま覚えてしまったのではないか。

そういうような例には以前から使っている「沢尻エリカの "Oh, shit!" 」がある。これは立派な? "swearword" で良識ある者が公衆の面前で使ってはならない言葉である。彼女は「語学の勉強」と称してアメリカに行ったはずだが、良くあることで最も安直であり、最も使い勝手があるかと錯覚するこの種の言葉から入って行ってしまうものなのだという悪い例となった。

そうすると、錦織君の周囲にもそういう人たちが多いということなのかな。彼には取りあえず「 "you know" は言わないようにしなさい」と忠告して終わる。

英語の単語で遊べば #3

2014-09-08 11:57:25 | コラム
「趣味」という単語を考えると:

前回は "There is no accounting for tastes." 等を採り上げたので、その趣味を考えてみようと思い立った。実は、昨日のテレ朝で地方で本格的な模型の蒸気機関車(今では"SL"というのだそうだが)を作り、線路まで敷いて子供たちを乗せておられる中高年の男性の方はこれを「ホビー」だと言われた。ここでカタカナ語なのは「何でかなー」と思わずにはいられなかった。

取りあえずこの "hobby" から槍玉に挙げよう。彼が「ホビー」と言われたのはローマ字読みしか知らなかった(教えられていなかった?)のだろうから責めないが、どの辞書を見ても発音記号は「ハビー」が先に出来るし、私はこの発音しか知らない。ということはカタカナ語なのだ。

taste:
私が所有する"CASIO" のプログレッシブ和英辞典で「趣味」を見ると、最初に[好み]taste;liking、服装などの趣味が良い She has excellent tastes in closing.の例文が出ている。

ジーニアス英和には「(飲食物の)味」がいきなり出てきて、4項目で「・・・の好み、嗜好[for, in]」が出てくる始末だった。

Oxfordには "What a person likes or prefers." と出てくる。そこには "flavour" や "sense" を使っての例文が挙げられている。

私は "taste" は以上の例が示すように着物、芸術、色等の好みを表す時に使うものだと認識してきた。ところで、冒頭の和英には"hobby" は載っていなかった。

hobby:
ジーニアス英和には「趣味、道楽」とあり、例文には "His hobby is growing flowers." が出ていたから、蒸気機関車を好む方が「ホビー」と言われたのは正解なのだろう。因みに、Oxfordには "An activity that you do for pleasure, when you are not working." とあった。

liking:
ジーニアス英和には[・・・に対する]好み、愛好〈fondness〉 とあり、例文は "He has a liking for puppies [ playing seesaw]. が出ている。

Oxford には "the feeling that you like ~ . the enjoyment" と出ている。私はこれが最も無難かなと思って訳していた。

pastime:
ジーニアス英和には「気晴らし、娯楽、趣味(hobby)とあり、例文は "Fishing is her favorite pastime." となっていた。

Oxfordは "Something you enjoy doing, when you are not working." となっていた。

ここまでの例が示すように英語で(英語を)話している時に、うかつに「趣味」などのような話題に踏み込まないことだと私は自戒してきた。それはそんなことを尋ねるのは「個人的な質問であり、非礼かも知れないから」だった。だが、通訳を使う我が国の方は気楽に「ご趣味は」とお尋ねになることが多い。しかし、それを通訳する場合には上記のどの「趣味」かを見極めねばならなくなって困る。