新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

田中将大の復帰とアメリカの文化を考える

2014-09-23 08:09:38 | コラム
田中の13勝目とはなったが:

昨22日だったか、フジテレビで田中将大の復帰の当否を論じていた。アナウンサーが指摘していたのは「170億円(だったか?)の高額の契約をした以上、球団側は彼を遊ばせて置く訳にも行かないようだ。即ち、この度の故障者リスト入りの期間でも50億円相当の出費となっていたということで、監督復帰を急いだのではないか」ということだった。同時に「Darvishが指摘したようにMLB式の『中4日』は我が国の投手には過剰負担ではないか」とも補足した。

私が長年指摘したことだが、ビジネスの世界でも、全てが如何なる点を比較しても我々東洋系よりも身体が大きく且つ骨格にも大いなる違いがある欧米人の体格で設計されている以上は、頭脳的な問題は措くとしても、その負担に馴れきって彼等の中で対等ないしはそれ以上に働き続けられるようになるのには、物理的にも大きな負担がかかってくるのである。

田中将大もDarvishもその世界に望んで入っていった以上、落ちこぼれてはならないのだ。しかし、それがどれほどの負担であるかは、落ちこぼれて初めて知り得ることだ。そこにはDavishが転身後直ぐに指摘した「何か別種の競技をやっているのかと思った」も含まれているだろう。ビジネスの世界でも、私は彼等が言う “different ballgame” をプレーする難しさをイヤと言うほど味合わされたものだった。

しかも、高額年俸で入っていった以上、それに相応しい働きと実績を挙げてみせねばならないのだ。勿論期待もされている。そこでそれに見合うだけの働きをせねばならないのは当然で、田中も一所懸命に投げたのだろう、伝家の宝刀「スプリット」とやらを多投してまでも。そしてその代償が肘の故障だった。既に一定以上の実績を残しているDarvishも何度か故障者リスト入りしている。

今年は何故か田中とDarvishの所属球団は不成績で、今更彼等2人が復帰しようとしまいと大勢に影響はない。現にDarvishは休養に入ったようで今季の登板はないとか。昨年のWシリーズで大活躍だった上原の今シーズンは終わったようだ。一時は破竹の勢いの如くだった岩隈も、張本が懸念していたように最近3試合だったかでは明らかに疲れが出ていて負けが続いている。

田中将大が故障者リスト入りした際の対応というか処置を、どうのように契約しているかなどは知り得ることではない。だが、フジテレビも指摘していたように肘の手術に踏み切れば最短でも2015年のシーズンは棒にすることになるだろう。だからこそ、ジラルディー(だったか)監督は休養だけで過ごさせて、今シーズン中の復帰を選択して来年は頭から使うことを選択したと私も見ている。

その早めの復帰が彼の為になるのか、今シーズンは諦めねばならないほど不振のヤンキースの都合なのかは、こちらからは解らない。この辺りに、私が「アメリカという世界で高額の報酬を得た場合の難しさは、その世界に入ってみて初めて解ること」と言うのだ。即ち、故障したり、ビジネスの世界でも長期の病欠などなどすれば(それが仮令不可抗力の自己の為でも)、雇用主は極めて厳しい(冷酷な)態度で臨んでくるものだと心得ておかねばならないのだ。

田中将大は既に早めの復帰を選択した(させられた?)ようなので、今シーズンはほどほどにして来期は盤石の体調で臨めるようにこれから先のシーズン終了後に十分に調整せねばなるまい。私は迂闊に「ティームの為」などを考えることなく「自分の為」を優先することだと言って上げたい。即ち、彼は個人が主体であり、野球は自分の生活の糧を稼ぐ場であり、ヤンキースはその手段であるという辺りまで割り切って置いても良いのではないのか。