♦️222の1『自然と人間の歴史・世界篇』ニュートンの3法則

2019-03-05 21:23:17 | Weblog

222の1『自然と人間の歴史・世界篇』ニュートンの3法則

 アイザック・ニュートンの「プリンキピア」は、当時の世の中に流布していた自然観を大きく変えた。その著者は、まずは、慣性については、こういう。

 「投射体は、空気の抵抗によって遅らされず、重力によって下方へ押しやられないかぎり、その運動を続ける。各部分が凝集することによってそれら自体をたえず直線運動から引きもどしている独楽(こま)は、空気によって遅らされないかぎり、回転することをやめない。諸惑星や諸彗星といったいっそう大きな物体は、抵抗の僅少な空間中においてそれらの前進運動も円運動もともにさらに長い時間継続する。」

 二つ目は、運動に関してであり、こういう。

 「ある力がある運動を生ずるものとすると、2倍の力は2倍の運動を、3倍の力は3倍の運動を、全部一時に及ぼされようと、順次にひき続いて及ぼされようとかかわりなく生ずるであろう。そしてこの運動は(常にそれを生ずる力と同じ方向に向けられるから)、物体がその前から動いていたとすると、その運動に向きが一致するときには加えられ、逆向きならば減ぜられ、斜めのとぎには斜めに加えられ、それと両者の向きに従って合成される。」

 これを今日流布している式で表すと、F=ma。つまり、質量 m [キログラム] の物体に、力F [N、この読み方は彼の名前をとってニュートン] が加わると、力の向きに加速度a [メートル毎秒毎秒] が生じることになる。ここで「加速度a」というのは、「重力の加速度g」を「一般の加速度」としたものだ。

  そして第三のものは、作用と反作用に関してなのだが、こういう。

 「他のものを押したり引いたりするものはなんでも、同じだけそのものによって押されたり引かれたりする。指で石を押すと、指もまた石によって押される。馬が綱に縛りつけられた石を引くとき、馬もまた〔そういってよければ〕等しく石のほうに引きもどされる。なぜなら、張りつめられた綱は、両端においてそれをゆるめようとする同じだけのコーナートゥスによって、石を馬のほうに引くのと等しく馬を石のほうに引き、一方の進行を助けると同じだけ他方の進行を妨げるであろうからである。

 あるひとつの物体が他の物体に衝突し、その力によりなんらかの仕方で他方の物体の運動を変えるとすると、その物体もまたそれ自身の運動において(相互の圧力は相等しいから)、他方の力により逆向きの同じ変化を受けるであろう。これらの作用によっては速度ではなく運動量の変化が相等しい、もちろんそれらの物体が他の物体によって妨げられない場合にである。というのは、正反対の向きに行なわれる速度の変化は、運動が等しく変えられるために、各物体(の物質量)に逆比例するからである。またこの法則は、すぐ後の注解で証明されるように、引力においても成り立つ。」(アイザック・ニュートン「プリンキピア」」

(続く)

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♦️219『自然と人間の歴史・世界篇』力学の夜明け(ガリレオなど)

2019-03-05 19:36:15 | Weblog

219『自然と人間の歴史・世界篇』力学の夜明け(ガリレオなど)

  ガリレオ・ガリレオの仕事は、天文学以外にも及んだようだ。いくつか拾うと、まずは、糸の先におもりをぶら下げ振り子を、を揺らしてみよう。すると、振り子が一往復するのに要する時間(これを周期という)は、おもりの質量や振幅(振れ幅)には無関係であり、もっぱら糸の長さによって決まる。これを「振り子の等時性」と呼び、ガリレオが発見したものとされる。

 また、彼の「新科学対話」によると、材料の変形など、物体の落下なども研究しているようなのだが、たしかなところはわかっていないようだ。

 これらのうち前者については、フックの発見した「フックの法則」が有名だ。いま、バネをつるした状態を考えよう。この場合、Fを復元力の大きさ、kをばね定数、xを自然長からの変位とおくと、F=kxと表すことができる。すなわち、振り子の周期は錘(おもり)の重さによらず、かかる糸の長さに比例する、というのだ。

  そして後者については、ピサの斜塔においては、質量の異なる二つの物体を落下させてみた、との逸話も伝わる。しかし、そのことが事実であった、とまでの証拠は見つかっていない。実際に確認できたのは「塔の上からの自由落下」などではなく、「実験室内で球を斜面の上から転がした」時、ガリレオは「落下の速度が時間とともに増加する」ことであった。それは1604年のことだとされる。すなわち今、球の落下の速度をV(ブイ)とすると、V=gt+v0ということで、落下の速度は落とす物体の質量の如何とは関係がないことがわかったのだという。彼はこのgのことを「加速度」と名付ける。これは、のちに「重力加速度」と呼ばれるようになる。

 本の中では、新しい科学者,古い哲学者および市民階級から、3人のイタリア市民が登場する。そうして、機械学や運動の理論について論じあう。どうやら、ガリレイは、アリストテレスの自然哲学等を批判したかったようなのだ。

 近代科学の基礎概念が一体どのようにして生まれたかを、ガリレオの広範囲にわたる仕事は教えている。

(続く)

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