まずは、1871年10月12日(明治4年8月28日)には、太政官布告ということで、等の称や身分の廃止などの旨を記す。それには、こうある。
ここに、「・等の称、廃せられ候条、自今、身分・職業とも平民同様たるべきこと」というのであるから、従来用いていた「」「」等の身分の名称が廃止となったので、これ以後は、かかる範疇での、いずれの身分や職業も平民と同様とすべきである、ということになるという。
このあと、具体的な廃止の手順などが簡単に書かれ、各府県へよろしく通達するように、となっている。
次に移ろう。それから約2か月が経っての「四民平等に関する告諭」(1871年12月26日(明治4年11月15日)付け)を紹介しよう。こちらは、かなりの復古調の文言にて、こうある。
「夫れ天地の間草木生し禽獣居り、虫魚育す。日月之を照し、雨露之を瀑し、生生育育運行流通して更に息む時なし。人天地の正気を稟け其の間に生し霊昭不昧の良知を具足す。故に之を万物の霊と言う。
夫草木禽獣虫魚人物生育處を五大州と言う。五大州中に区々の国を別つ文字を知り、義理を明らかにし、人情を弁へ風俗美にして知識技能を研究し勉強刻苦心を同うしか殲せ。(中略)
老少男女の差別なく人々報国の志を懐く之を名けて文明開化の国と言う。(中略)
古へは士農工商を別ちて文字を知り、義理を明にせし者を士と言う。今や士農工商の別なく、万物の霊たる人間に教を設け義理を明かにして、風俗を正し知識技能を研究し勉強刻苦心を同うし、力を戮せ。
人々をして国に報るの誠を懐き開化の域に進ましむるにあり。(中略)
真に其子を愛するなら学校に入れ、人間の道を学はしめ、刻苦勉強して開化安楽の境に至らしむ可し。是天地無用に報ひ、朝旨に答ふる所以なり。」(出所は、池田藩市政提要を元資料とした、岡山平野研究会「藩政資料抜粋一」1959)
これにあるのは、要は、「万物の霊たる人間に教を設け義理を明かにして、風俗を正し知識技能を研究し勉強刻苦心を同うし、力を戮せ。人々をして国に報るの誠を懐き開化の域に進ましむるにあり」とあるように、これからは「朝旨に答ふる」べく、分け隔てのない、「臣民」(この文面にはないが)の立場で一生懸命がんばりなさい、というのであろう。
このように、上の方から諭す体裁をとっているのは、天皇並びに朝廷は旧体制下にも増して雲の上の存在であり、その意を体しての政府の指示、命令には率先して従うように、という論理構成に他ならない。
(続く)
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