♦️360の1の8『自然と人間の歴史・世界篇』プランクの量子仮説(1900)

2019-03-07 20:51:45 | Weblog

360の1の8『自然と人間の歴史・世界篇』プランクの量子仮説(1900)

 果たして、イギリスのレイリーとジーンズの式でも、ドイツのウィーンの式でも、物理学でいう黒体放射(こくたいほうしゃ、黒体というのは、鉄のように何色の光でも吸収する箱のイメージであろうか)のスペクトルの実験結果を完全に説明することはできなかった。それというのも、前者の式は振動数の少ない時の実験結果に一致する。もう一方の後者式は、振動数の多い時の実験結果に一致している。

 ということは、この二つの式をうまく結ぶことができるなら、振動数の全域でその新たな式があてはまるのではないかと、ドイツの学者マックスプランク(1858~1947)は考え、ついにそのことを可能にする式を発見する(式は略)。

 かかるプランクが発見した式とウィーンの式とを並べて一見すると、まったく同じ式のような気がするのだが、よく目を凝らしてみると、下の式には「-1」という数字の部分があるではないかと、気がつく。

 このようにウィーンの式の分母から1を引いてやると、これが不思議にも黒体放射の実験結果とピッタリくることがわかった。プランクは、さっそく、この新しい式を、1900年12月14日の物理学会で発表する。
 プランクは自分の公式をさらに検討し、E=hvという式に行きつく。ここに、(光のエネルギー)=(プランク定数)×(振動数)というのであって、かかるうち「プランク定数」は、h=6.626×10-34[ジュール・秒]。

 この式の中には、大胆な考え方がひそんでいる。どんな考えかというと、「エネルギーには最小単位があり、エネルギーはこの単位を基礎にやり取りされる」というものだ。しかして、それまで物理学者の頭を悩ましてきた「未知の何か」はじつは「量子」(りょうし)のことなのであり、それは、私たちの宇宙が誕生した時からずっと存在し続けてきたのであろうと。

 そればかりか、振動数νである光のエネルギーのおおきさは、1hν、2hν、3hν云々というように、とびとびに変化することにならざるを得ない。つまり、この式にしたがえば、「光のエネルギーは、ある決まった、とびとびの値を取る」、別の言い方をすれば「光のエネルギーは連続的ではなくて、非連続的に変化する」ということなのだ。

 そして、これこそが「量子力学」という新たな学門領域誕生の一幕であった。そんなプランクには、意味深長な言い回しが伝わっていて、例えば、こういう。

 いわく、「全ては振動であり、その影響である。現実に何の物質も存在しない。全ての物は、振動で構成されている。」また、いわく、「新しい科学的真理が勝利をおさめるのは、それの反対者を納得させ、彼等の蒙を啓くことによってではなく、その反対者が最終的に死に絶え、当の新しい科学的真理に慣れ親しんだ新しい世代が成長することによってである。」後者の言葉は、なかなかに辛辣ではないか。

(続く)

 

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