製作地 カンボジア南部
製作年代(推定) 20世紀前期 1920-30年前後
素材/技法 絹(カンボウジュ種)、天然染料 / 綾地・緯絣
サイズ 縦(緯)83cm×横幅(経)182cm
カンボジア南部で20世紀前期に手掛けられた絹絣・腰衣”サンポット・ホール・サムロイ”。
黄と赤の点描で表わされる菱格子鉤状文様は水と大地を司る”蛇龍神ナーガ”を表わし、菱格子の中には放射状に広がる”花”が描かれたもの、カンボジア絹絣伝統デザインの作品です。
本サンポット・ホールは、絣模様が緻密かつ端整であるとともに、ラック・プロフー・藍の天然染色を駆使した色彩の完成度が高く、取り分けラックの赤は鮮麗で力強く、プロフーの黄と藍の掛け合わせで表現された”緑”の色味に格別の瑞々しさ・美しさが感じられます。
また上質なカンボウジュ種絹が用いられた織物ならではの、適度な張り感と滑らかさ・柔らか味を備えた布の質感の豊かさも特筆すべきものとなります。
近世クメール染織が素材面・技術面で充実していた時代の一級作品と言える一枚です。
●本記事内容に関する参考(推奨)文献