アジアの手仕事~生活と祈り~

アジア手工藝品店を営む店主が諸国で出逢った、愛すべき”ヒト・モノ・コト”を写真を中心に綴らせていただきます

琉球王国 木綿”水色地紗綾形に桜散し模様”紅型裂

2017-06-25 10:45:00 | 染織



●両面染め 染地型・白地型併用





製作地 琉球王国 沖縄島首里 (現日本国・沖縄県)
製作年代(推定) 19世紀 琉球王朝期
素材/技法 木綿、天然顔料、天然染料 / 型染、糊防染、両面染め
サイズ 横:15cm、縦:18cm

琉球王朝期の沖縄島首里で手掛けられた「木綿”水色地紗綾形に桜散し模様”紅型」裂。

染地型・白地型併用の両面染め作品で、水色の地に太くかつ伸びやかに紫色の紗綾形が唐草状の白抜き桜模様入りで配され、その上から多彩な”桜の花”が散りばめられたもの、鮮やかさと深みを兼ね備えた”水色地”と、天然顔料・染料を駆使したモチーフひとつひとつの色彩の完成度が高く、色柄に息づく瑞々しい生命感に目と心を奪われる一枚です。

那覇市歴史博物館が所蔵する尚王家の衣裳、「黄色地松雪持竹梅模様衣裳」(18-19c作・国宝指定)の裏地・返し衿に用いられているのが、本品と同手型紙で染め色違いの”黄色地紗綾形に桜散し模様”紅型であり、これと同時代作と特定することはできないものの、布・型紙・彩色の完成度の高さから、王朝期・王府首里の正統な職人の手によるものと考察することができます。

古き良き琉球王国の染め布の時代が偲ばれる、19c”古紅型”裂の薫り高き逸品です。

































●参考画像 同手型紙による黄色地紅型が用いられた尚王家の衣裳






国宝「黄色地松雪持竹梅模様衣裳(裏・返し衿:黄色地紗綾形に桜散し模様)」
18-19世紀 那覇市歴史博物館蔵

※上画像はサントリー美術館刊「紅型 琉球王朝のいろとかたち」より転載いたしております







●本記事内容に関する参考(推奨)文献