アジアの手仕事~生活と祈り~

アジア手工藝品店を営む店主が諸国で出逢った、愛すべき”ヒト・モノ・コト”を写真を中心に綴らせていただきます

ザンスカール ヤクウール絞り染め・肩掛け

2016-07-10 12:47:00 | 民族衣装








製作地 インド ジャンムー・カシュミール州 ザンスカール  
製作年代(推定) 20世紀半ば
民族 チベット系民族
素材/技法 ヤクウール、染料(天然染料+化学染料) / 綾織、絞り染め、三枚接ぎ

ジャンムー・カシミール州の一つ一つの地方は山岳と渓谷によりそれぞれがおおむね隔絶しており、このザンスカール地方も山々に囲まれ他とは孤立した山麓及び渓谷地帯となります。それゆえ染織・衣装作品について、独自性豊かな意匠・技巧のものが培われ継承されてきました。

このヤクウール絞り染め・肩掛け”ティグマ・ボコ”は、ザンスカールに生活するチベット民族系の人々が日常生活の防寒用に用いたもの、彼らが放牧し育てるヤク牛のウールを素材に、綾地に織った布を絞り染めにより文様を染め出すことを技巧上の特徴として手掛けられてきました。

丸の中に十字を描く絞りモチーフは、チベット仏教の伝統のもと古来より受け継がれてきたものですが、日本では江戸時代に“蒙古絞り”としてもてはやされたものとも縁の深い染織の意匠です。

標高4千mを越えるラダック地方、厳しい自然環境の中で生活を続けてきた人々が生み出し、代々継承してきた伝統衣装ならではの力強い生命感に魅了される一品です。






















最新の画像もっと見る