製作地 パキスタン・スィンド州 タールパルカール地方
製作年代(推定) 20世紀半ば~後半
民族名 ラバリ族
パキスタン最南東部、インド・グジャラート州カッチ地方とも近いタール砂漠エリアに生活する羊飼いの遊牧民”ラバリ族”の手による婚礼用の刺繍ヴェール。
インド・カッチ地方とも近いと書きましたが、印パ分離独立以前に国境は無く、本来彼らは砂漠エリアと湿原エリアを季節により移動を繰り返し生活をしてきました。
自家製のウールを天然染料で染め平織りされた二枚接ぎの布上に、刺繍とミラーが色彩の洪水のごとく絢爛に刺し描かれた婚礼用のヴェールですが、単に緻密で華やかであるのみでなく、目にするものを包み込むような大らかさも同時に感じられるように思います。
遊牧民ラバリの”生命エネルギー”、他者が真似をすることの出来ない唯一無二の手仕事であり、目にする人の内なるエネルギーを呼び覚ます力をも有するような作品です。
●本記事内容に関する参考(推奨)文献