アジアの手仕事~生活と祈り~

アジア手工藝品店を営む店主が諸国で出逢った、愛すべき”ヒト・モノ・コト”を写真を中心に綴らせていただきます

ラダック ウール綾地絹刺繍・肩掛け

2016-07-01 04:50:00 | 刺繍








製作地 インド ジャンムー・カシュミール州 ラダック地方
製作年代(推定) 20世紀前期
素材/技法 ウール地、絹刺繍、染料、木綿裏地、絹フリンジ、絹×金属糸(モール)織物 / 綾地、刺繍(タンブルワーク)
サイズ 布本体:横幅66cm、縦48cm、フリンジ:約22cm

本品は緑の染められたウール(羊毛)を素材に綾組織で織られた布をベースに、多色に染められた絹によるタンブルワークの刺繍で装飾がなされたもの、ラダック地方に生活するチベット系民族が肩掛け”ボコ(boko)”として用いたものとなります。

ラダック地方において肩掛け”ボコ”は主に冬季の防寒用として用いられますが、本品はその華やぎ溢れる意匠から、婚礼・祝祭或いは宗教儀礼の特別な機会に手掛けられ・使用されたものと推察されます。

またタンブルワークにより描かれる立花(花束)モチーフは中央アジア(トルキスタン)的な薫りのするものであり、この種の刺繍作品の意匠・技巧がシルクロードの支流としてのカシュミール交易街道を通じて古い時代に伝わったであろうことを指摘することができます。

大らかかつ瑞々しい生命感に溢れる刺繍表情に魅了されるとともに、実使用の肩掛けとしての可憐な表情にも格別の魅力が感じられる一品です。
























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