令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(一)(13)いや毎年(としのは)に

2011年03月01日 | 家待・越中編(一)友ありて
【掲載日:平成23年1月21日】

布勢ふせの海の おきつ白波
         ありがよひ いや毎年としのはに 見つつしのはむ



二上山ふたがみやまの山すそを 南に見
北と西を  低く伸びる丘陵に 囲まれ
東 ありの海とは 松田江浜が隔てる 一帯
そこは  波静かな 湖水の広がり 
水鳥浮かび かづ
霍公鳥ほととぎす鳴き飛ぶ 水海みずうみ
風光 この上なしの 布勢ふせの水海みずうみ
岸々に  藤波
官人たち  格好の遊覧地

家持  
気心知れた友引き連れ 遊びうたげする

物部もののふの 八十やそともの 思ふどち 心らむと 馬めて 
うちくちぶりの 白波の 荒磯ありそに寄する 渋谿しぶたにの さき徘徊たもとほり 松田江の 長浜過ぎて 
宇奈比うなひ川 清き瀬ごとに 鵜川うかは立ち かきかくき 見つれども そこもかにと
 
《おつかえの 友達同士 打ちそろい 楽しみ求め 馬並べ
 白波寄せる 荒磯あらいその 渋谿しぶたに崎を 行きめぐり 松田江浜を 後にして
 宇奈比うなひの川の 清い瀬で いしながら あちこちと 見て来たけども まだりん》
布勢ふせの海に 船ゑて おきぎ ぎ見れば 
なぎさには あぢむらさわき 島廻しままには 木末こぬれ花咲き 許多ここばくも 見のさやけきか
 
布勢ふせ水海みずうみ 船浮かべ おき岸辺きしべを漕ぎ見ると
 なぎさあじがも 群れさわぎ 島の梢に 花が咲き 見事な景色 目に映る》 
玉匣たまくしげ 二上山ふたがみやまに つたの 行きは別れず 
ありがよひ いや毎年としのはに 思ふどち かくし遊ばむ 今も見るごと

二上山ふたがみやまの つたに ずっと一緒に 連れうて
 友と毎年 来ると仕様しょう また来て遊ぼ 今年みたいに》
                        ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十七・三九九一〕

布勢ふせの海の おきつ白波 ありがよひ いや毎年としのはに 見つつしのはむ
布勢ふせの海 おきの白波 寄せるに ここへ毎年 また見にうや》
                        ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十七・三九九二〕
                                【四月二十四日】 

遊覧の感懐かんかいを すぐさまの歌に結んだ 家持
池主の こころえや如何いかにと 歌を


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