令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(一)(10)逢ひて早見む

2011年03月11日 | 家待・越中編(一)友ありて
【掲載日:平成23年1月11日】

・・・ぬえ鳥の うら泣けしつつ 下恋したごひに 思ひうらぶれ 
       かどに立ち 夕占ゆふけひつつ 
            を待つと すらむ妹を 逢ひて早見む



歌づくりの思い 先ずは大嬢おおいらつめへと飛ぶ

妹もわれも 心はおやじ たぐへれど いやなつかしく 相見れば 常初花とこはつはなに 
心ぐし めぐしもなしに しけやし 奥妻おくづま
 
《お前とわしの 思いは同じ そばったら 心が引かれ 顔合わしたら 初々ういういしいて
 うれい気苦労 何にもうて いとおもてた 心の妻に》
大君おほきみの みことかしこみ あしひきの 山越え行き 天離あまざかる ひなをさめにと 別れし 
その日のきはみ あらたまの 年がへり 春花の うつろふまでに
 
《国の任命 かしこみ受けて 遠いこしくに おさめるために 野山を越えて 別れて来たが 
その日限りで 逢うことうて 年が変わって 春花はな散って仕舞た》
相見ねば いたもすべ無み 敷栲しきたへの 袖かへしつつ 落ちず いめには見れど 
うつつにし ただにあらねば 恋しけく 千重に積もりぬ
 
《どうも出来んで  袖折り返し 独りで寝たら 夢には出るが
 逢われんよって がれがつのる》
近くあらば 帰りにだにも うち行きて 妹が手枕たまくら へて てもましを 
玉桙たまほこの みちはしどおく 関さへに へなりてあれこそ
 
《もしも都が ちこうにあれば ちょっと帰って 手枕てまくらをして お前一緒に 寝られるものを
 道は遠いし 関まであって あいだ隔てて うこと出来ん》
よしゑやし よしはあらむそ
霍公鳥ほととぎす 来鳴かむ月に 何時しかも 早くなりなむ 
の花の にほへる山を よそのみも 振りけ見つつ 
近江路あふみぢに い行き乗り立ち 青丹あをによし 奈良の吾家わぎへ
 
《きっと何処どこかに 手立てだてはあるぞ 
 ほととぎす鳴く 四月が来たら の花咲いた 山もせんと
 近江路辿たどり 家まで行くぞ》
ぬえ鳥の うら泣けしつつ 下恋したごひに 思ひうらぶれ 
かどに立ち 夕占ゆふけひつつ を待つと すらむ妹を 逢ひて早見む

《嘆く心で  恋くたびれて
 家のそと立ち 占いをして わし待ちながら 独り寝してる お前に逢いに 早よ早よ行くぞ》 
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十七・三九七八〕

あらたまの  年かへるまで 相見ねば 心もしのに 思ほゆるかも
《逢われんで あたらし年が 来て仕舞しもた こんな逢えんと 心しぼむわ》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十七・三九七九〕
ぬばたまの いめにはもとな 相見れど ただにあらねば 恋ひ止まずけり
《寝てたなら 夢に見るけど むなしいで じかに逢わんと がれ止まらん》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十七・三九八〇〕
あしひきの 山きへなりて 遠けども 心し行けば いめに見えけり
《山へだて 奈良みやこいけど こころなか かよてるよって 夢出てんや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十七・三九八一〕
春花の うつろふまでに 相見ねば 月日みつつ 妹待つらむそ
《春花が 散って仕舞うまで 逢われへん 指折り数え 待ってるやろに》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十七・三九八二〕
                                【三月二十日】 


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