令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(一)(02)結(ゆ)ひてし紐(ひも)を

2011年04月15日 | 家待・越中編(一)友ありて
【掲載日:平成22年12月14日】

天離あまざかる ひなに月
        しかれども ひてしひもを 解きもけ無くに



うたげが進むにつれ 杯のめぐりは 速くなる
ふと沈む家待のおも
それと気づいた池主 
どちらも  規則ゆえの 独り身赴任
みずからに言寄ことよせ 家待の心持こころもち

秋の夜は あかとき寒し 白妙しろたへの 妹が衣手ころもで 着むよしもがも
《秋の夜は 明け方寒い そやけども お前のふくを 着ることできん》
                         ―大伴池主おおとものいけぬし―〔巻十七・三九四五〕
霍公鳥ほととぎす 鳴きて過ぎにし 岡傍をかびから 秋風吹きぬ よしもあら無くに
《ほととぎす 鳴き飛んでった 岡辺から 秋風吹くよ 独りはさみし》
                         ―大伴池主おおとものいけぬし―〔巻十七・三九四六〕

顔ほころぶ家待 心のままの 歌のり取り

今朝けさ朝明あさけ 秋風寒し とほつ人 雁が鳴かむ 時近みかも
《明け方の 秋風寒い い国の 雁鳴いて来る 季節ときは近いな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十七・三九四七〕
天離あまざかる ひなに月ぬ しかれども ひてしひもを 解きもけ無くに
《遠いここ こし来て月日 ったけど お前結んだ ひもそのままや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十七・三九四八〕
天離あまざかる ひなにあるわれを うたがたも ひもけて 思ほすらめや
《遠いこし 暮らすこのわし ひもくて 思てるもんか 都の妻が》
                         ―大伴池主おおとものいけぬし―〔巻十七・三九四九〕
家にして ひてしひもを 解きけず 思ふ心を たれか知らむも
《家で妻 結んだひもを 解かへんで しとてる気持ち 誰かるかい》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十七・三九五〇〕
雁がねは 使つかひに来むと さわくらむ 秋風寒み その川の
《秋風の 寒い川辺で 雁の奴 使いに行こと 騒さわいどるかな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十七・三九五三〕

うち続く  妻恋し 都恋しの歌
これでは ならじと かみ家持は 歌を転ずる

めて いざ打ち行かな 渋谿しぶたにの 清き磯廻いそまに 寄する波見に
《さあ行こか 馬を並べて 渋谿しぶたにの 清い磯辺の 寄せる波見に》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十七・三九五四〕
ぬばたまの けぬらし 玉匣たまくしげ 二上山ふたがみやまに 月かたぶきぬ
《とっぷりと けたよや 玉匣たまくしげ 二上山ふたがみやまに 月傾いとおる》
                         ―土師道良はにしのみちよし―〔巻十七・三九五五〕
        ―――――――――――――――――
後日 秦八千島はだのやちしまの館でのうたげ

奈呉なご海人あまの 釣する舟は 今こそば 舟棚ふなだな打ちて あへてぎ出め
奈呉なご海人あまの 釣りする船は 今時分 船縁ふなべり叩き ぎ出すのんや》
                         ―秦八千島はだのやちしま―〔巻十七・三九五六〕


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