令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(一)(12)許多(そこば)貴(たふと)き

2011年03月04日 | 家待・越中編(一)友ありて
【掲載日:平成23年1月18日】

射水川いみづかは い行きめぐれる 玉匣たまくしげ 二上山ふたがみやま
    はるはなの 咲ける盛りに 秋の葉の にほへる時に
        出で立ちて 振りけ見れば 神柄かむからや 許多そこばたふと



二上山ふたがみやま
なんと  心ときめく名であろう
家持は  深く感じ入っていた
往古いにしえの 藤原の宮 大和三山の地西方
葛城の峰々へと続く 雄岳おだけ雌岳めだけの山
その里は 奈良人ならびとにとって 
自らの出自しゅつじに関わる 心の故郷ふるさと
それと  同じ名の山
こここしにも
ましてや  国庁のある台地そのものが
お山 東麓とうろく高地ともあれば
ゆかしさも 一入ひとしお

〔これが うたわずに おれようか〕

射水川いみづかは い行きめぐれる 玉匣たまくしげ 二上山ふたがみやまは 
はるはなの 咲ける盛りに 秋の葉の にほへる時に 出で立ちて 振りけ見れば 
神柄かむからや 許多そこばたふとき 山柄やまからや 見がしからむ
 
射水川いみずがわ 裾めぐってる 二上山ふたがみ
 春花はなの盛んな 時見ても 照る黄葉もみちの 時見ても
 神さんやから とおとうて 山そのものが え景色》
め神の 裾廻すそみの山の 渋谿しぶたにの 崎の荒磯ありそに 
なぎに 寄する白波 夕なぎに 満ち来るしほの いや増しに 絶ゆること無く
 
《神さん山の 裾めぐる 渋谿しぶたに崎の 荒磯あらいそ
 朝のなぎには 白波なみ寄せて 夕のなぎには 潮満ちる》
いにしへゆ 今のをつつに かくしこそ 見る人ごとに けてしのはめ
い昔から この日まで このえ景色 続き来た
 見る人みんな こころ懸け 誉め続けるで この山を》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十七・三九八五〕

渋谿しぶたにの 崎の荒磯ありそに 寄する波 いやしくしくに いにしへ思ほゆ
渋谿しぶたにの 荒磯ありそ次々 寄せる波 次々思う 古来むかしの景色》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十七・三九八六〕
玉匣たまくしげ 二上山ふたがみやまに 鳴く鳥の 声の恋しき 時はにけり
《とうと来た 二上山ふたがみやまで 鳴く鳥の ゆかしい季節 とうと来たんや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十七・三九八七〕
                                  【三月三十日】 


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