犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(171)我がやどに

2013年01月23日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【十一月二十二日】放映分
我がやどに きしなでしこ いつしかも 花に咲きなむ なそへつつ見む
《庭植えた 撫子なでしこ咲くん 楽しみや 女らしなる お前もおなじ》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一四四八)

【万葉歌みじかものがたり】三日月みかづき見れば》

大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめは 不機嫌であった
 大伴本家たる 佐保邸
 跡取りは しかるべき身分の嫁が順当
 しかる に 身分釣り合わぬ娘などと・・・
 わが 娘坂上大嬢おおいらつめこそ 似合い)

従兄いとこ 家持を 
実兄あにとも慕う 年端としは行かぬ大嬢おおいらつめ
それと察する 坂上郎女いらつめからの歌が届く

月立ちて ただ三日月の 眉根まよねき 長く恋ひし 君に逢へるかも
《三日月の ようなまゆを いたんで こいがれてた あんたに逢えた》
                         ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻六・九九三)
                                 (眉がかゆい=人に逢える前兆)

(あの 少女こどもにしては 出来すぎ
 ははぁ 叔母おばさまの代歌かわりうたじゃ これは)
坂上郎女いらつめの真意 知ってか知らずか
家持 かまい気分で筆を

けて 三日月みかづき見れば 一目見し 人の眉引まよひき 思ほゆるかも
《振りあおぎ 三日月見たら 一目見た おまえのまゆを 思い出したで》
                        ―大伴家持おおとものやかもち―(巻六・九九四)

我がやどに きしなでしこ いつしかも 花に咲きなむ なそへつつ見む
《庭植えた 撫子なでしこ咲くん 楽しみや 女らしなる お前もおなじ》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一四四八)

なでしこの その花にもが 朝な朝な 手に取り持ちて 恋ひぬ日けむ
《撫子の お前花やと えのにな 毎朝手にし いつくしめるに》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻三・四〇八)

思い もよらぬ 返し歌
坂上郎女いらつめ 大嬢おおいらつめを駆り立て
手取り足とり 歌みさせる

生きてあらば 見まくも知らず 何しかも 死なむよ妹と いめに見えつる
《生きてたら 逢えるんやのに なんでまた 夢に出てきて 死のやてうの》
                         ―大伴坂上大嬢おおとものさかのうえのおおいらつめ―(巻四・五八一)
大夫ますらをも かく恋ひけるを 手弱女たわやめの 恋ふる心に たぐひあらめやも
《男でも 夢に見るほど 恋苦くるう おんな恋苦くるしん 当たり前やん》
                         ―大伴坂上大嬢おおとものさかのうえのおおいらつめ―(巻四・五八二)
月草の 移ろひやすく 思へかも が思ふ人の ことも告げ
《移りな 露草の児や 思うんか 逢いたいあんた 何もん》
                         ―大伴坂上大嬢おおとものさかのうえのおおいらつめ―(巻四・五八三)
春日山かすがやま 朝立つ雲の ぬ日無く 見まくの欲しき 君にもあるかも
《春日山 朝雲朝毎いつも かかってる 始終いっつもうちは あんた思てる》
                         ―大伴坂上大嬢おおとものさかのうえのおおいらつめ―(巻四・五八四)

(これは たまらん 母子おやこしての 相聞攻勢か)
家持 思わずの苦笑にがわら



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