犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(166)沫雪の

2012年12月29日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【十一月十五日】放映分

沫雪あわゆきの ぬべきものを 今までに 流らへぬるは 妹に逢はむとぞ
《雪みたい 消えになって 生きてるは あんた会いたい 思てるからや》
                         ―大伴田村大嬢おおとものたむらのおおいらつめ―(巻八・一六六二)


【万葉歌みじかものがたり】継ぎ て相見む》

神亀じんき五年(728)夏 大宰府からの急使
旅人赴任同行の 妻大伴郎女おおとものいらつめ死去の知らせ
次いで 家持からの 要請ようせいぶみ
 父 旅人の 落ち込み 只事では ありませぬ
 叔母おば上の 下向げこう 乞い願うばかり》
時に 家持十二歳 必死の願いぶみ
前年 宿奈麿を亡くし 寡婦かふの身の坂上郎女いらつめ
した 大嬢おおいらつめ 二嬢にのいらつめの 幼子おさなごを抱えていた
急遽きゅうきょのこと 田村大嬢たむらのおおいらつめの 宿下がり願い出
二人 を託し 筑紫へと急ぐ

留守宅 を 預かる 田村大嬢
忠実忠実まめまめしい 世話のなか
同母妹とも見紛みまがきずなが この時生まれた
 何年か後)
やがて 佐保邸家刀自いえとじとなった 郎女
大嬢おおいらつめ 二嬢にのいらつめは 引き取られる
田村 邸に 一人残る 田村大嬢
大嬢への 募る思慕しぼ
よそて 恋ふれば苦し 我妹子わぎもこを ぎて相見む ことはかりせよ
《離れてて 焦がれんつらい ねえあんた 会える手立てを 考えてえな》
遠くあらば わびてもあらむを 里近く りと聞きつつ 見ぬがすべなさ
《遠いとこ るんやったら 仕様しょうないが 近く住んでて 会えんの何で》
白雲の たなびく山の 高々に 我が思ふ妹を 見むよしもがも
 首伸ばし あんた会いとて 堪らんで 会える手立ては 無いもんやろか》
いかならむ 時にか妹を 葎生むぐらふの 汚なきやどに 入りいませてむ
《むさくるし このあばに あんたをば 何時になったら 迎えられんや》
                         ―大伴田村大嬢おおとものたむらのおおいらつめ―(巻四・七五六~九)

係累けいるいの無いまま 生母実家 飛鳥奈良思ならし岡に 引きこもった田村大嬢
大嬢 への 思慕は続く
茅花ちばな抜く 浅茅あさぢが原の つほすみれ 今盛りなり が恋ふらくは
《ツボスミレ 花が満々いっぱい 咲いとおる うちも満々いっぱい 焦がれとるんや》
                         ―大伴田村大嬢おおとものたむらのおおいらつめ―(巻八・一四四九)
故郷ふるさとの 奈良思ならしの岡の 霍公鳥ほととぎす ことりし いかに告げきや
奈良思ならし岡 さとホトトギス らしたが ちゃんとあんたに 伝えたやろか》 
                         ―大伴田村大嬢おおとものたむらのおおいらつめ―(巻八・一五〇六)

我がやどの 秋の萩咲く 夕影ゆふかげに 今も見てしか 妹が姿を
 夕暮れの 咲いた秋萩 見とったら あんたの姿 見となったがな》
我がやどに 黄変もみ鶏冠木かへるで 見るごとに 妹を懸けつつ 恋ひぬ日は無し
《庭先の 赤いかえでを 見るたんび あんたのことが 思えてならん》
                         ―大伴田村大嬢おおとものたむらのおおいらつめ―(巻八・一六二二~三)

老境  田村大嬢に なお大嬢への思慕は尽きない
沫雪あわゆきの ぬべきものを 今までに 流らへぬるは 妹に逢はむとぞ
《雪みたい 消えになって 生きてるは あんた会いたい 思てるからや》
                         ―大伴田村大嬢おおとものたむらのおおいらつめ―(巻八・一六六二)



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