満ちると、あふれる

　グラスに水をいっぱい注ぐと、自然に溢れていきます。それは自然なこと、当たり前のこと
　グラスに満ちるに至らなければ、ああ、もう少しでいっぱいになるのにな・・・と、惜しいな、残念だな、と思うでしょう

　昨日は、娘の卒業式でした
幼稚園から数えると１４年間、娘は同じ学校、同じところに通いました　中学から、新しく増える生徒もなく、幼稚園、小学校で入園、入学したメンバーのままで、彼女達は守られ、慈しまれて、ともに成長してきました

　涙、涙の卒業式・・・そういう卒業式が世間での一般的な卒業式、でしょう。この幸せな学校生活が終わってしまうのかと思うと、本当に辛い、残念・・・この仲間達と明日からは離ればなれになってしまうのは悲しい・・・そういう「残念だ、名残惜しい」という気持ちが、自然ととなって、流れていくのだと思います。

　昨日の卒業式には、たぶん、そういう涙はなかったように思います。
満ちると溢れる　この自然ななりゆき、その瞬間を「ワォー！ブラボー」と拍手喝采する儀式が、昨日の卒業式だったのだな、と実感しました

　彼女達は４月から、晴れて次の世界への一歩を踏み出します。大学生になる子、再度来年受験に挑戦するために準備を始める子、それぞれ、初めて「違う世界」に出ていくのです
　私達、親も、小さな小さな子供だった彼女達が、大きく成長した姿に目を細め、４歳だった入園式、６歳だった入学式を思い出し、感激の涙を流しましたが、やはりそれは「満ちて、溢れる」安堵の涙だったように思います

　昨夜、お友達のお家に集まるため、一旦帰宅し、慌てて出かけていった娘　部屋をのぞくと、ばさっと置かれた使いふるされた制カバンと、ソファの上にぐにゃりと脱ぎ捨てられた制服が、もう「明日」がないことを象徴しているようでした・・・