田中眞紀子(シンガー・ソング・ライター)

ピアノの弾き語りで活躍する田中眞紀子のブログサイト。ホームページはブックマークから。

Mission’sにおけるミッション

2011-02-27 03:56:21 | Weblog
今夜、ハルミちゃんのワンマンを見た。


ワンマンとMission’sでのライブで、完全に呆けてしまった。
職場で、あれやこれやあった。
二つのライブで、心底清められた私の中は、あっという間に汚れてしまった。
ハルミちゃんの、小さな身体をぶつけるように放つ歌は、私をシンガーに戻してくれた。
その豊かな才能と未来に嫉妬していると、やっと猛烈に歌いたくなった。

ありがとう!!!



そして何とか作文の続きが書けるまで、意識が戻ってきた。
いやしかし、2回続けて‘ステージが始まった途端動揺する’という経験をしようとは思わなかったなぁ。



2月17日(木) 高円寺 Mission's 

 高架下のユース season.22

  田中眞紀子 with  山崎怠雅


1.死んじまいたい
2.ハルノジダイ
3.乙姫と白百合の記憶
4.セルリアンブルーの海
5.Tシャツ


Mission'sではステージに幕が下りる。
本番前、幕の隙間から、随分前の方まで人がいるなぁ、とは思った。
カッコつけて、歌いながら幕が上がっていったら、Mission'sの高いステージの私の足元に、ズラリと何列にもわたって人が立っていた。
しかも、気を付けしながら立っていた。
アピアでデビューした18年前から歌っている「死んじまいたい」を、こんなに困りながら歌ったことがあっただろうか。
それを最初のMCで言ったら、隣で怠雅がぼそりと「いかに普段、お客のいない所で歌ってるかってことですよね」と言った。
こんなところで、初体験があるなんて、、、
あぁ、私には、知らない事が多すぎる!


このライブが決まった時、ライブのイメージは、ほぼ決めていた。
‘歌を歌う’ことだ。

このお店のイメージとして、ギター音バリバリのロックサウンド、というのがあって、まぁ、何でアタシが?みたいな部分もあるわけだが、本人の意識とは関係なく田中眞紀子さんは‘ロック’であるらしく、まぁいいやってなもんだが、確かに攻撃的な私としては、昨日の反省はどこへやら、その電気音バリバリギュイギュイの空間に、徹底的に美しく徹底的に肉体を使った歌声を響かせてやりたい!という野望を抱えて乱入を図ったわけで。
店長の辰野さんにすれば多分「朱になれ」みたいなイメージを求めていたんだろうし、鳥をみたや灰野さんの世界に近づけるのにもっとヘビーな選曲もできたのだけど、むしろ違う世界を全体の流れの中に打ち出したい気持だった。

そんな私の野望は、足元にズラリと並ぶお客さんの波にかき消され、ただただひたすら一生懸命歌うのみ。
そして、歌の途中で怠雅のギターが入って来た時の、あの安堵感。
一人じゃないって、素敵な事だわねぇ♪

ただし、目論見通り、一番私が爽やかであったと自負するものである。
田中眞紀子がライブ全体の流れの中で、‘一服の清涼剤’となるなど、そうそう無いことではないか!
チバンゲリオンでも一番爽やかであったはずだが、そうでもない、みたいな事を言われ、ハルミちゃん辺りからチバ君の方が爽やかみたいな事を言われ、かなりムッとしたので、今回は一番爽やかであったことにして頂きたいわ。



灰野敬二さんは凄まじく本物であった。
ゆらゆら帝国なるバンドのベーシスト、亀山千代さん(男性、だと思われる)は、素晴らしくかっこよかった。
灰野さんと亀山さんの、サラサラヘアーの獅子舞も見た。
その揺ぎ無く圧倒的な電気音の、聴く者の肉体に対する攻撃に、きっとみんな、こういうのをやりたいんだろうなぁ、と思った。

そして私には、ものの見事に何の参考にもならなかった(笑)。
つまり、具体的に盗むものが無かったって事ね。
だけど、徹底的な美学に彩られたステージと、自分のやらんとする事を徹底的にやる、ってことは私もやろう!と意を新たに出来たな。

ワンマンで詩の朗読と歌の融合を目指したので、徹底して歌うという意識はワンマンとコントラストをつけられたし、ライブのMCでも言ったけど、ワンマンだからといってあれもこれも歌えるわけでなく、むしろあれもこれもカットしたという経緯があるから、乙姫とセルリアンを歌えたのは良かったと思う。
また、怠雅には大荷物で重労働を強いてしまったが、Mission’sでギターを弾くのも声を出すのも初めてだったようで、さっそく辰野さんが怠雅に歌えと言ってきたらしく、結果良かったんじゃないかしら。

‘鳥をみた’も非常に良かったな。非常に高い地点でグッと引き締まっていた。
このバンド、一番音楽的な部分を司ってるのが怠雅のベースっていうのが面白い。
美しいベースラインと確かなドラムのリズムに乗って、ギターとサックスが炸裂する。
もう少し言葉が届くともっと良いのにな。骨のある歌詞だと思うから。

最初のインストバンドは見れなかったんだけど、二つ目の‘爆弾しょった子供たち’は、改めてちゃんと聞きたいバンドだった。心の奥底に向かって歌おうとする真摯な姿勢が強く感じられたから。
終わったあと、私のCDを買って下さって、ボーカルのあおいちゃんが「眞紀子さんみたいに歌いたいです」などと言ってくれた。
私のようになっちゃダメよ、と思いながらも(笑)、きっと世代を超えてこの子達とは何か通じるものがあるんだという事は強く感じたから、その言葉は嬉しく受け止めた。



夢も希望も持てない私が、誰かの夢になったりするって事かいな。
そんな事になってみると、夢の意味がもう一度よみがえってくる。
自分でない自分を想像すること。
そうだね、‘夢’でなきゃダメだね。
‘目的’になっちゃダメだ。
‘目的’は、あなたにしかなれないあなた、でなければ。




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