田中眞紀子(シンガー・ソング・ライター)

ピアノの弾き語りで活躍する田中眞紀子のブログサイト。ホームページはブックマークから。

悲しい予感

2007-09-05 12:00:58 | Weblog
その日、なぜか無性にアピアに行きたいと思っていた。
行きたいラインナップだったし。
でもそれだけじゃなくて、妙にアピアつながりの、色んな人の顔が仕事中に浮かんでしかながなかった。日頃それほど頻繁に関わっていない人も、頭に浮かんでくる。
結局残業で行けなかったが、今頃あの娘がやってるなぁとか、彼の終わっちゃったなぁとか、今から行っても最後の1曲位しか聞けないよなぁ、行ってもしょうがないなぁとか、何故か引っ切りなしに考えていて、残業をした事を妙に後悔した。

夜中、いつもの様にミクシィをくるくる見ていたが、その日頭の中を巡った人の一人の日記に、それは書いてあった。

中村十兵衛さんの訃報。

トイメンシャオというバンドのリーダー。もの凄いギターを普通に弾きながら、味のある声で軽々と人生の機微や世の無情を歌う。
アピアからCDも出している。
一頃ブッキングやなにかで、頻繁に顔を合わせていた。確かインドが好きで、長期滞在をしにしょっ中出掛けていて、だから会う時は会うけど、会わない時はぷっつりって感じ。
建築士だったか大工さんだったかで、今のアピアのバーカウンターや、2階の控室や階段を作った人である。あの階段はちょっと危ないから、アピアは年配者も多いことだし(笑)、早く十兵衛さんに手摺りを作ってもらわなきゃ、なんて、一頃スタッフの人と随分笑い話をしたものだ。
今年、久々にアローンのスケジュールに十兵衛さんの名前をみつけて、あぁまた聞きたいなぁと思っていたが。
53歳。癌だったそうだ。


私、実はそういう時にアピアにいる事が多い。
ママが亡くなった日もアピアにいたんだ。
随分長くアピアでピアノを弾いてたみついさんて人が亡くなった時も、稲生座のオーナーが亡くなった時も、その連絡がアピアに入った時にそこにいた。
あの日、アピアがぐるぐる頭を巡ったのは、何か呼ぶものがあったのかもしれない。


十兵衛さん、現世は呆れるばかりで嫌気がさしちゃいましたか?
私は、あなたの修業の行き届いた神業をまた見たかった。今の私に教えて貰う事が、たくさんあったはずです。
アローンでやるというのを知った時、きっと後輩や若い人に、何かを伝えたいんだろうと思いました。

ご冥福を、心からお祈り申し上げます。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿