田中眞紀子(シンガー・ソング・ライター)

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上手いギター

2008-10-05 01:58:28 | Weblog
ドンパチギュイギュイのロックサウンドにおいて、、、

まぁ私、そもそもロック系はさほど好きなサウンドではなく、好きではないわって気持ちも込めて、ドンパチギュイギュイなどと言ったりするのだが、それでもこういう音楽をやっていれば、それに触れる機会も多いし、それなりに聞く耳も出来てくる。その上で好き嫌い、善し悪しの価値観も出来る。

そんな中で、これほど‘上手い’と思ったことは初めてだ。
山崎怠雅のギター及びそのバンド。
10月1日のアピアライブにて、初めて山崎怠雅のバンド版を聞いた。
そつがないというか、的確というか、完璧というか。
実に上手い。

こういう場合、上手いというのは褒め言葉にならないのが常だ。上手いけど良いとは思えないとかさ。
実際上手いプレイヤーは、その上手さが鼻につくというか、`どうだ、オレ、上手いだろう’とか`オレの腕を聴け’みたいなオーラがぷんぷんしちゃったり。
いや、オレとか限らないですね。アタシってのもいますね、勿論!(笑)

ところが山崎怠雅にはそれもない。
その上手さに、`上手い’という事に、非常に高い精神性が宿っていて実に品が良い。何というか高級なフランス料理のような感覚なのだ。
こういうプレイヤーの存在は珍しいのではないだろうか。
弾き語りのスタイルでもその完璧主義は感じられたが、他人を巻き込むバンドにおいても彼の完璧主義をここまで具現化できるメンバーに出会えているのは、彼の最大の幸運なのではないだろうかもと思われる。

しかしながら`完璧’とは、ある種の`型’である。
高い精神性を持って完璧という型を目指す、という事は、完全に型にハマるという事でもあり、そこに`型を破るという面白み’は存在しなくなる。
山崎怠雅の課題はそこにあるだろう。
思い返せば、以前独パンに出演している時、いつも通りにしようとして、どうにもならなくて、オタオタしている感じのあの怠雅君は非常に面白かったな。
弾き語りの時は、すごくふてぶてしい感じがヤな感じで、最初見た時ホントにヤなヤツだと思って、絶対こんなヤツと友達にならねぇと思っていたら、ステージを下りたら意外なくらい物凄く良いヤツで、すっかり友達になってるんだけど、バンドだとそのふてぶてしさも出てこない。
造形は美しいが、味は淡泊かな、このフランス料理…(笑)

と、ここまで意地の悪いことを書いてきて、ふと思い出した。
怠雅君て、実はまだ若いのである。
30歳になってないんじゃなかったかしら?
人生色々を重ねて味が出てくるのはこれからだ。
10年くらいしたら良い味が出てきて、`美味いギター’になってるといいね。
その品の良さがそのままだったら、凄く素敵だ。



なにしろ`24’で忙しいので、感想文が大変遅くなってしまったわ。