田中眞紀子(シンガー・ソング・ライター)

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男の顔は40から

2008-10-27 08:24:09 | Weblog
今日は何だか、いつもより男前だなぁ、、、
と思いながら、客の特権で遠慮なく顔をガン見していた。

`見つめていた’とか書けばいいんだが。(笑)
そういう`異性に対するスイートな気持ち’が全くないとは言わないが(ホントだよ!笑)、そこが表現者の哀しいところでねぇ、`表現されているもののパーツ’として冷静に観察しているパーセンテージの方が、スイートな気持ちを上回ってしまうのだな。
だからアタシは駄目なんだ、などど思いつつ。

ところが、そう思っていたのは私だけではなかった事が、打ち上げで判明。
アオケンや函館くん達と、今日のチバ君の顔は良かったと盛り上がる。
「いつもと違って、ありがとう~って気持ちが目に出てるんですよ~!」
と、アオケン。
そうだね、いつもは`やってやる!’とか`やっつけてやる!’とかって目ん玉してるもんね。(笑)
「いや~、今日は男前だったよ~」
と私も言ってあげた。ついでに、
「男の人が、一番顔が良いのが40代だから。」
と言ってあげたら、向こうで恋ちゃんが`そうだそうだ’と首を10回くらい振っていた。
一連の会話を聞きながら、チバ君は男前の顔をくしゃくしゃにして照れていた。

本人のレポを読んで、本人がこのライブに懸けた思いがそのまま表出していたことを、自分の感じたことと照らし合わせてみて思うのである。
とにかく丁寧であった。
丁寧に1曲1曲を練り、言葉を1つ1つを、メロディ1音1音を、ギターの音1つ1つを確かめるように、噛み締めるように奏でていた。
そう、`奏でて’いたのだ。
それは多分、今まで少なくとも私は見聞きしたことのないチバ大三であった。
そこにあったのは、純粋に彼の`音楽’だった。
`やってやる’も`やっつけてやる’もない、ただ、歌であること、音楽であること。
そしてそこに集中するチバ大三が放つオーラは、間違いなく`やってやる’を100回を重ねて、やっつけてやったり、やっつけられたりしながら、身体に染み込ませてきた、もう脱ぎ捨てることのできないオーラだ。
ライブの構成もよく吟味されていて、チバ大三の全てを見せると共に、エンターテイメントとして楽しめる、素晴らしい`コンサート’だった。
火取りゆきのプレゼントという衣装をまとっての2部のラスト、「兄ちゃん」から「ドラゴンへの道」を聞きながら、私の`観察’心は消え失せ、感動で目の奥が熱くなるような思いだった。

独パンということでなく、チバ大三の`99’は、次の`100’に代を替え、そこからスタートさせるものは何だろうか。
今回、自分を放つ事をステージで追求してきた彼の、実は足元にある`音楽’を、本人も聞き手も見つめ直すひとときになっていたと思う。
それをふまえての彼の`次’は?
11月7日にアピアで彼の`101’を目撃する予定なので、彼のこの移り変わりを見ておくことは、きっと私自身の為になるだろう。

ワンマン終了後の、独パン出演者達による1発芸大会の中で(私も1発参加しました。お陰でクタクタになったよ。私はいつも、自分のライブの翌日は休みを取るようにしているんだけどさ。ライブでギンギンに神経が立ってしまって、翌1日位はクールダウンしない、つまり眠れないからさ。ところが今回この1曲でそうなっちゃったよ。次の日が日曜で助かったよ。)群を抜いていたのが、初の飲酒ライブを行った河内伴理と、チバ君の「サドマゾ合戦」を朗読した恋川春町であったことは、あまり同席者の異論ないところではないかと思われるが。
恋ちゃんのは、恋ちゃんの朗読が良かったってことも勿論あるが、チバ君の詩が面白味の後ろに深味を持っている事を、その面白味、つまり仮面を引っぱがして深味にのみ焦点を当てて表出させたってところにその勝利がある。ある意味、チバ君の完敗である。(笑)
そのうち何か一緒にやろうかいな、とチバ君とは話しているが、今回のライブでこれだけ丁寧に曲を奏でてくれたことで、その曲の意外にも美しいメロディラインやコード進行を全面に押し出すピアノなどを弾いてみたら、あの我鳴り歌唱と組み合わさって面白いかも、などとこちらの意欲を掻き立てられたのだが、恋ちゃんの朗読を聞いてその思いは更に膨れ上がった。
チバ君は`いぢりがい’がありそうだ。(笑)

伴ちゃんに関しては、こんなにお茶目な彼を見たことがなく、酒の勢いと、その場の盛り上がり切った雰囲気とで、踊り出さんばかりでね。
私は密かに、それだけではなく、前日あたりにUPされた松浦キノコのかなり過激なYou Tube映像に刺激されてのことだと思っているよ。
(あのキノコは、なかなかのものである、確かに!)

あと私としては、久しぶりに函館くんのエビ反りジャンプを見れて嬉しかった。
ジャンプの高さでは、やはりチバ大三の完敗である。
しかも機材やら何やらを恐れることなく、なおかつそれらにぶつかることもせず、もはやプロの業だ。
「オレも何か、企画とかしたい。」
と語っていた。
「オレの企画では、アルペジオ厳禁だから。」
爆笑!
そうだよね、ちまちまアルペジオなんかするなってのよね!


1発芸のMCで、「チバ君は常に自分の為にやっていて、自分の為にやっていることが人の為になっている」と話させてもらったが、若い恋ちゃんや伴理を観ていると、自分のMCは間違ってないことを確信するものである。(笑)
`人と場’というものがいかに人を育てるか、その形のない`人と場’を創り上げようとし続けるチバ大三は、40代に入って益々男前な人間になって行くだろう。
これから油が乗って来ること間違い無しの彼を見つめながら、ワンマンを勧めて良かったなという思いと、余計な事を勧めて永遠のライバルを1歩成長させちゃったような悔しさで、悶々とする私であった。


とにもかくにも、チバ君、独唱パンク100回おめでとう。
そして、良いライブをありがとう。
これからも私を刺激してね!


まぁ、ご本人は、さっさと`次’に向かっているようですけどね。。