マックンのメモ日記

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米国に広がるダム撤去の動き!

2015-02-06 16:54:51 | 自然・環境問題・古生物
昨年、独立戦争初期に造られたホワイト・クレー・クリークダムが撤去されました。米国デラウェア州としては初の撤去となりましたが、米国全体を見ればこれはほんの一例にすぎません。1月27日、環境保護団体アメリカン・リバーズは、2014年だけで72基のダム(堰堤を含む)が解体あるいは爆破され、西はカリフォルニア州から東はペンシルベニア州まで合計1200キロ近い河川が元の姿に戻ったと発表しました。

20年前、ダムを取り壊すという考えは主流ではありませんでしたが、もはや使われていない、あるいは付近の住民の安全を脅かす場合に限って、支持を得ていたようです。

最近になってダム撤去の動きは、全米で広く受け入れられるようになりました。野心的な取り組みもあり、1月27日にはドキュメンタリー映画「ダムネーション」のプロデューサーらが、ワシントン州東部にあるスネーク川下流から連邦政府が建設した4基の大型ダムを撤去することを求めて、連邦議会およびホワイトハウスの関係者らと会談しました。

2014年の夏、ワシントン州のエルワ川に設けられた高さ約64メートルのグラインズ・キャニオンダムの最後の一部が爆破されました。国民の注目はこのような極めて壮観なダムの爆破に集まりやすいが、過去20年間で取り壊された865基のほとんどは、水害対策や灌漑(かんがい)、局所的な水力発電のために建設された小規模なダムや堰堤です。かつて小麦の製粉に使われていたホワイト・クレー・クリークダムも、一番高い所で2.4メートルほどしかありません。

小さいとはいえ、大型ダムと同じように魚の遡上を邪魔することに違いはありません。デラウェア大学 水資源機構のジェラルド・コフマンは、産卵のために遡上したニシン科のヒッコリーシャッドがホワイト・クレー・クリークダムの壁に体当たりしながらも、乗り越えられなかった様子を覚えています。

大小を問わず、すべてのダム撤去事業には固有の課題があるようです。ホワイト・クレー・クリークダムのような歴史的建造物の場合、綿密な調査を行い、部分的に保存する必要があります。大量の土砂とがれきが溜まったダムでは、下流にすむ魚や野生動物、地域の住人に被害を及ぼさないよう、徐々に堆積物を撤去しなければなりません。

また、ダムの撤去には管理者や近隣に暮らす住民の協力、管轄する州と連邦の許可、さらには解体費用も必要です。ホワイト・クレー・クリークダムのような比較的小規模な事業でも、21万ドル(約2520万円)の費用がかかったと言います。撤去に必要な資金の調達に携わったアメリカン・リバーズのセレナ・マクレインは、撤去の計画から実行まで一般的に3年を要すると述べています。

ダムを解体して川を元の姿に戻す試みは、ヨーロッパや日本でも支持が広がりつつあります。しかし、中南米やアフリカ、アジアの一部の国では、国内の電力需要を満たし、輸出用の電力を生産するために、水力発電用の大型ダムの建設が次々に計画されているのが現状です。

米国には高さ1.8メートル以上のダムや堰堤が8万基近く、それより小型のものが数万基ほど点在し、依然として河川の流れを塞いでいます。ダム撤去の支持者である前内務長官のブルース・バビットは以前、「独立宣言の署名以来、平均で1日に1基のダムが建設されてきた」と述べています。

なかでも初期に建てられたのが、冒頭のホワイト・クレー・クリークダムです。水車小屋の所有者でクエーカー教の牧師だったダニエル・バーンズが1776年、あるいは1777年に建設したものです。今日のホワイト・クレー・クリークでのダムの破壊も、将来、歴史的な出来事の一つとされる日が来るかもしれません。