あとだしなしよ

Japanese text only..
落書きブログです。
報道記事の全引用は元記事消去への対応です。m(__)m

百年の孤独

2008年02月04日 | 
「百年の孤独」読破。
読もうと決意して10年。その特異さに読むのに疲労して何回か挫折して、今年の初めから読み始めて、読むのにひと月かかった。
みどころは反政府戦争を指導する超人的な大佐と、労働闘争を起こして自国軍による労働者の大虐殺に巻き込まれる3代目か。理不尽な暴力に対する反動で反政府闘争を始めるチェ・ゲバラみたいな大佐。(チェ・ゲバラはよく知らないんですが…)彼はイデオロギーに共鳴して戦いを起こしたのではない。右も左も無く非人道な暴力に戦いを挑んだだけだ。自国の軍による労働者たちの虐殺を体験する3代目のアルカディオも左翼活動家とかではなく、理不尽な労働条件に意義をとなえただけだ。牧歌的だった街に鉄道が敷かれいわゆる文明が開花して、アメリカのバナナ工場できるくだりは、近代を象徴する出来事のように思えた。そのアメリカの工場を国軍が支持するのをみると、現在のグローバリズムとやらのやり方と、なんらやりかたは変わらないようにも見える。今のこの国の政党もアメリカ(国)の為の政治を第一に行っているように見え、彼らの統治の仕方は今も昔もおんなじなのかなあとも思う。結局バナナ工場がもたらす短い繁栄を絶頂期を境に、長い雨期が始まり土地から生命力が消えていく。
女性陣の描写も特異で、現代のニホン人のわたしからみると、エイリアンか妖怪じみている。土を食う飢餓体験のある絶世の美女なんてショッキングですわ。現実の小説なのにSFみたい。異教徒(キリスト教カトリック)、異文化(スペイン系)、時代も迷信が多く残る中世のほうが強い感じで、現代とはだいぶ違う。マコンドの気候も激しい。
結果としてひきこもってしまう登場人物がたくさん出てくる。晩年にひきこもって錬金術に没頭する初代、金細工を作る大佐、羊皮紙の解読をする彼、失恋のあげく廃墟と化す部屋や修道院にこもりっきりになる女性たち。彼らや彼女らのような人たちは昔からたくさんいたのでは無いかとも思え、いまさらニートだなんだって言葉を変えて騒ぐのも馬鹿っぽい気もする。彼らを総じて”百年の孤独”のタイトルをつけたのか。結果としてこの家系は「最後のものは蟻に貪られて終わる」のだが、やはり家系を繋いでいくのも大変なことなのかもしれない。
サッカーの国際試合でコロンビアやボリビアの試合をみていると彼らが放つ体臭のようなものがテレビからでも見て取れるけれど、その原因がなんとなくわかるような気がした。最初読むのが辛かったけれどだんだん慣れてきて、読み終えた時には長旅を終えたような充実感があって、とっても面白かった。
やっぱり「ひきこもり列伝」みたいな小説だったりするのかしら。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿