あとだしなしよ

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十字街 - 久生十蘭

2008年02月07日 | 
第二次世界大戦前のフランスが舞台。昔の政府というもんはどこもこんなもんだったのだろうかと思えるほど、権力の横暴が目に余るかんじ。警察は政府と癒着してイイカゲンな捜査やでっちあげなんてのをしたり、ほとんど諜報機関か殺し屋かって感じであった。オソロシヤ。当時の情勢で満州を作った日本が嫌がられているとかも興味をそそられた。ラスト近くの右派左派いりみだれての集会からデモ、やがて内乱の市街戦というより殺し合いの描写はモノスゴイ迫力を感じた。人がたくさん死にます。カミソリステッキで武装した労働者たちが、騎乗した警官隊を斬りつけたり、体制側も機関銃を発砲してデモの人たちがなぎ倒されます。。これが革命闘争のリアリティなのだ。ウォォ。フランスの下町というか貧民街というか、そのへんの描写もよかった。スラスラと読みやすいのだが、作者の頭の良さがすごく感じられる独自の文体のような。口述筆記だからか。主人公達の扱いが最後の方では、少し物足りない気もたしかにするが。。でも個人ではどうにもならんほど、歴史や国家権力というもんは重いものかと、戦時中の日本を体験された作者の世界観のようにも思えた。このあと血みどろの世界大戦が始まる。どこの国も頭がおかしくなってしまっていた時代だったのだろうか。
自由とか民主主義はやっぱりとても大切なものなのかもしれない。


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