かぶとん 江戸・東京の歴史散歩&池上本門寺

池上本門寺をベースに江戸の歴史・文化の学びと都内散策をしています。

えどはくカルチャー・古文書講座 くずし字入門 

2012-06-12 | 古文書入門
テキスト『實語教』の「くずし字」、ふり仮名(変体がな)の復習・自習です。

テキストに首っ引き、「釈文」を脇に、ゆっくりと読みすすめてみました。
本来なら、講師の先生、お話のとうり「写字」が基本のようですが(それにプラス「音読」)、ここではブログ用に、一字一句を確かめながら追ってみました。
1
實語教     実語教
志川(じつ)ごきやう
 ・志=し、じ
 ・川=つ (川)を草書で書くと(つ)になる。(つ)は大文字・小文字の区別なし。
 ・(ご) 単独だと(で)に見えるので要注意。
 ・きやう=きょう (や=ょ)

山髙故不貴  山 高きがゆえに 貴っとからず
やま 多可起可(たかきが)ゆへ尓(に) 多川と可ら(たつとから)寸(ず)
 ・◎(・た)のくずし字は頻出。
    (た)には見えないが(逆つ)(変形、と)として覚える。
 ・◎(・か)も大頻出。小さな(る)(ろ)に見えたら、ともかく(か)も思い出す。
 ・(起・き) (記)の草書に見える。
 ・(へ) くずしだと(人)にも見える。
 ・◎(・に)も、よく出てくる。(不・ふ)に見えたら(尓・に)。やや少し小さいか。
 ・(ら) (たて棒+つ)のよう。
 ・(寸・す) もともと同じにみえる。 不(寸・ず) 不(春・ず)もある。

以有樹爲貴  樹 有るをもって 貴しとす
き あるをもつて たつとしと春(す)
 ・(あ) (の・ね)の変形のようにも見える。一字だけだと難解、文の前後関係で。
 ・(を) (と)のごちゃった字として。
 ・(も) 釣竿のハリのイメージ。(り)にも見える。
 ・◎(春・す) (と)(を)のさらなる上部変形(士・さ+と・て)として覚える。爲・す

人肥故不貴  人 肥えたるゆえに 貴っとからず
ひと こへ多(た)るゆへ尓(に) 多川と可ら(たつとから)春(ず)

以有智爲貴  智 有るをもって 貴しとす
ち あるをもつて たつとしと春(す)

富是一生財  富は これ 一生の財
とミハ こ連(れ) いつしようのざい
 ・(み) ほとんど(ミ)で表記されてる。
 ・(は) (ハ)で表記。(ハ)と(ワ)も共用か。
 ・(連・れ) 上-たて棒にまわりグニュ、下-(と)の合成に見える。 是(こ連・これ)

身滅即共滅  身 滅すれば すなわち 共に滅す
ミ めつすれバ 春(す)なハち とも尓(に)めつ春(す)
 ・(な) (る)に似てる。あとで(奈・な)が出てくるが、草書だとほぼ同じ字。

智是万代財  智は これ 万代の財
ちハ こ連(れ) 者(ば)ん多(だ)いの多可(たか)ら
 ・(者・は・ば) くずし字、単独だと読めない。

命終即随行  命終れば すなわち 随へて行く
いのちおハ連(れ)ハ すなハち 志多可(したが)ヘてゆく

2
玉不磨無光  玉 磨かざれば 光なし
多満(たま) ミ可ゝ(みがか)ざれバ ひ可(か)りなし
 ・(満・ま) くずし、読めず。あえていえば(匁)に似てる。

無光爲石瓦  光なきをば 石瓦とす
ひ可(か)りなきをバ いしかハ(わ)らと寸(す)


實語教
山 高きがゆえに 貴っとからず。 樹 有るをもって 貴しとす。
人 肥えたるゆえに 貴っとからず。 智 有るをもって 貴しとす。
富は これ 一生の財。 身 滅すれば すなわち 共に滅す。
智は これ 万代の財。 命終れば すなわち 随へて行く。
玉 磨かざれば 光なし。 光なきをば 石瓦とす。


有朽 無朽
朽つること有り 朽つること無し  くつる□(こと)あり くつる□(こと)なし
 ・□(こと) 合字。タテに長い(を)の変形にも見える。
千両金  千両の金(こがね) せん里(り)やうの こ可(が)ね
 ・(里・り)
不如  志(し)か春(ず)
不合  あ者(は)春(ず) ここの、者(は)は読めない。
不存  ぞんぜ春(ず)
 ・春(ず) (さ+と)の合わせた字にみえる。
3
勿倦  うむ□(こと)奈可連(なかれ) 倦むこと勿れ
勿怠時  おこ多(た)る と起(き) 奈可連(なかれ) 怠るとき勿れ
4
爲無財人者  ざ以(い) 奈起(なき) ひとの多め尓(ために)ハ 財 無き人のためには
 ・爲 多め尓(ために) 3文字、ひとくくりで。
如霜下花  志毛(しも)の志多(した)の者奈(はな)の□ごとし 霜の下の花の如し
 ・本文(漢字)を見て、ふりがなを読む。ふり仮名のほうが難しい。(何か変)
 ・者(は)は、くずし過ぎ。 (慣れて、覚えるのみ)
父母如天地 師君如日月
 ・父母 ふ本(ぼ) (本)のくずし
 ・日月 ぢ川(つ)个(げ)門(川)(つ)
5
 ・朝夕 てうせ起(き) ちょうせき
 ・昼夜 ちうや ちゅうや


くり返しになりますが、一連の絵として覚える、実際に書いてみる、声に出して読む、をセットにして地道にやっていくしかない、というのが上達への道 (古文書・くずし字入門を脱して次なるステップにいく道) かなという感じです。



えどはくカルチャー・古文書講座 5

2012-06-10 | 古文書入門
實語教 その5 (テキストの本文 8~9頁)

8
雖冨勿忘貧  或始冨終貧
雖貴勿忘賤  或先貴後賤
夫難習易忘  音聲之浮才
又易學難忘  書筆之博藝
但有食有法  亦有身有命
猶不忘農業  必莫廃學文

とミ多(た)つと いへども ひんを ワするゝ□(こと)なかれ
あるいハ 者(は)じめ とミ お者(は)りニ まづし
たつとしと いへども いゆきを ワする□(こと)奈可(なか)れ
あるいハ さき尓(に) 多(た)つとく のち尓(に) いやし
そ連(れ) 奈(な)らひ可多(かた)く ワす連(れ)やすき(□)
をんせいの ふさいハ
ま多(た) ま奈(な)びや春(す)く ワ春(す)れ可多起(がたき)ハ
志(し)よひつの 者(は)く个(げ)い(ハ)
多(た)ゞし 志(し)よく(ニ)あれバ 本(ほ)う(ニ) あり
ま多(た) ミ(ニ)あ連(れ)バ いのち(ニ) あり
なお のうぎやうを ワ春連(わすれ)ざれ
可奈ら寸(かならず) 可(が)くもんを すつる□(こと)奈可(なか)れ

冨たつと雖も 貧を忘るることなかれ  或いは 始め冨み 終りに貧し
貴しと雖も 賤(いゆき)を忘ることなかれ  或いは先に貴く 後に賤(いや)し
それ習い難く 忘れやすき(し)  音聲の浮才は
また 学びやすく忘れがたきは  書筆の博藝(ハ)
但し 食(ニ)有れば 法(ニ)有り  また身(ニ)有れば 命(ニ)有り
猶(なお) 農業を忘れざれ  必ず學文を 廃つることなかれ

9
故末代學者  先可案此書
是學問之始  身終勿忘失
實語教終

可る可ゆへ尓(かるがゆえ)に まつ多(だ)いの 可(が)くしや
まづ この 志(し)よを あん寸(ず)べし
これ 可(が)くもんの 者(は)じめ
ミ(み) をハるまで 本(ぼ)う志(し)つする□(こと)奈可連(なかれ)
じつごきやう おハり

故(かるがゆえ)に 末代の 学者  まづ この書を 案ずべし
これ 学問の 始め  身を終わるまで 忘失することなかれ
実語教 終り



えどはくカルチャー・古文書講座 4

2012-06-09 | 古文書入門
實語教 その4 (テキストの本文 6~7頁)

6
不乘四等舩  誰渡八苦海
八正道雖廣  十惡人不往
無爲都雖樂  放逸輩不遊
敬老如父母  愛幼如子弟
我敬他人者  他人亦敬我
己敬人親者  人亦敬己親

しとうの ふね尓(に) のら春(ず)んバ
多れ可(たれか) 者(は)つくの うミを ワ多(た)らん
者(は)つしやうのミちハ ひろしといへども
じうあくのひとハ ゆ可(か)春(ず)
むゐの ミやこハ 多(た)のしといへとも
本(ほ)ういつの ともがらハ あそバ春(ず)
をひを うやまふ□(こと)ハ ふぼの□(ごと)し
いとけ奈起(なき)を あいするハ していの□(ごと)し
ワ連(れ) 多(た)尓(に)んを うやまへバ
多(た)尓(に)ん また ワれを うやまふ
ワ連(れ) ひとの おやを うやまへハ(ママ)
ひと また ワ可(が) おやを うやまふ

四等の舩(船)に乗らずんば  誰か八苦の海を渡らん
八正の道は広しといえども  十惡(悪)の人は往かず
無爲の都は 楽しといえども  放逸の輩は 遊ばず
老いを敬うことは 父母の如し  幼けなきを愛するは 子弟の如し
我れ 他人を敬えば  他人 また 我れを敬う
己(わ)れ 人の親を敬えば  人 また 己(わ)が親を敬う

四等の舩・・・身法をいい、佛の道を指す
八苦・・・生老病死の四苦と愛別離苦、怨懀會苦、求不得苦、五陰盛苦
八正・・・
無爲の都・・・悟りの理想郷

7
欲達己身者  先令達他人
見他人之愁  即自共可患
聞他人之喜  則自共可悦
見善者速行  見惡者忽避
好惡者招禍  譬如響應音
宛如隨身影  修善者蒙福

おのれ可(が)ミをバ 多(た)つせんと 本(ほ)つせバ
まず 多(た)尓(に)んを 多(た)つせせしめよ
多(た)尓(に)んの う連(れ)いを ミてハ
すなハち ミず可(か)ら とも尓(に) う連(れ)ふべし
多(た)尓(に)んの よろこびを きいてハ
す奈(な)ハち ミず可(か)ら とも尓(に) よろこぶべし
ぜんを ミてハ 春(す)ミや可(か)尓(に) おこ奈(な)へ
あくを ミてハ 多(た)ちまち さけよ
あくを このむものハ ワざハひを まねく
多(た)とへハ ひゞきの おと尓(に) おふ春(す)る□(ごと)し
あ多可(たか)も ミのかげ尓(に) 志多可ふ可(したがふが)□(ごと)し
ぜんを しゆする ものハ さいハいを かふむり

己が身をば達せんと欲せば  まず他人を達せしめよ
他人の愁いを見ては  即ち自ら共に患うべし
他人の喜ぶびを聞いては  すなわち自ら共に悦ぶべし
善を見ては 速やかに行なへ  悪を見ては たちまち避けよ
悪を好む者は 禍いを招く  譬えば 響きの音に応ずるが如し
宛も 身の影に随うが如し  善を修する者は 福(さいわい)を蒙り

(続きます。次が最終回)



池上市民大学・課外授業 鎌倉散策

2012-06-08 | 池上本門寺・池上市民大学
2012.06.07
池上市民大学 課外授業
鎌倉散策・比企谷妙本寺参拝

ひさしぶりに「池上市民大学」、参加しました。
詳しい行程がわからなかったので、後半の「名越の切通し」ハイキングには、ややびっくりしました。けれど鎌倉初心者にとっては、鎌倉の仏教、そして寺院について学ぶ、貴重な一日になりました。

JR鎌倉駅・集合
参加の応募をしたきりで、その後の様子がよくわからない。ともかくも、すこし早めに行ってみると、講座で知った顔の皆さんが集まっていました。総勢30名くらいの大所帯。引率は池上市民大学のクラス担任・吉田先生(池上永寿院ご住職)。本日の案内役は安藤さん(池上本門寺・霊宝殿の学芸員さんです)。期待でワクワク。安藤さんの知識の豊富さ、話し方のうまさには前々から、おおいに感服していましたので。
午前の予定は名越周辺の散策のはずでしたが、午後にまわり、先ずは鶴岡八幡宮の周辺を散策、その後、小町大路を南下して比企谷妙本寺に行くことになりました。
安藤さんから、ポイント毎に詳しい説明がありました。
鶴岡八幡宮周辺のこと(記事)については、ここでは流します。
〇若宮大路
〇段葛
〇三の鳥居
〇鶴岡八幡宮
もともとは、「元八幡宮」の場所にあった。
〇若宮
いちばん由緒のある建物だそうです。
〇白幡神社

〇宝戒寺
北条氏の執権館跡。のち、天台宗寺院として宝戒寺建立さる。
〇紅葉山やぐら
洞窟。防空壕跡にも見えるが、昔の墓所・墳墓とのこと。現在は埋められている。
〇東勝寺跡・腹切りやぐら
執権・北条高時とその一門、滅亡の場所。
〇小町大路
鎌倉時代のメイン道路。大路の名がつくも、道幅は狭い。北、鶴岡八幡宮寄りは武家屋敷地で、南、浜に近づくにつれ商業地。浜沿いは下層民の生活空間であった。
(現在の繁華街、「小町通り」とは別物ですよ。)
〇妙隆寺
小町大路の武家地寄り。御家人・千葉氏。日蓮宗・中山法華経寺系で、鎌倉弘教所の位置づけであった。
〇日蓮聖人辻説法阯碑
小町大路を行きつ戻りつ、あるいは何ヶ所かの場所で辻説法をしていた、とのこと。その一つです。
〇大巧寺
比企谷・妙本寺の元塔中寺院。
〇本覚寺
日蓮聖人、佐渡配流の赦免後、松葉ヶ谷の草庵は取壊されていたため、この地にあった夷堂に一時滞在した。その後、身延山に移った。東身延・本覚寺の創建は後年のこと。

妙本寺
妙本寺貫主・早水日秀師のお出迎え、ご挨拶を受けました。
妙本寺・書院にて昼食。
祖師堂参拝。
読経終了の後に、堂内の見学。安藤さんの詳しい解説付きでした。
〇蛇苦止堂 参拝
若狭(讃岐)の局を、妙本寺の鎮守としてお祀りしています。
若狭(讃岐)の局・・鎌倉幕府御家人・比企能員の娘、二代将軍源頼家室、一幡の母。

(常栄寺・ぼたもち寺)
(妙法寺)
〇安国論寺
(長勝寺)
〇日蓮乞水
〇名越の切通し
〇まんだら堂
(法性寺)

名越のところで、記述が止まってしまった。鎌倉は来てても名越は初訪、超初心者を自認しているので、どうってことないはずだった。けれど、それでも「マズい、なあ」という感覚があった。鎌倉お上りさんなら小町通り、鶴岡八幡宮の散策、別の機会に鎌倉五山、長谷の大仏と長谷寺の散策で充分のはずだ。けれど、ひと言、「鎌倉の歴史」に興味あり、と思ったときに、もしくは言ったときに、「名越」のことを、あまりに知らなすぎる。
日蓮聖人の「松葉ヶ谷法難」のことは、本の知識だけでなく現地をじっくりと歩いて、身で感じないといけないと思いました。

JR逗子駅に到着。(ここまで、ずっと徒歩!!) ここで、とりあえず解散です。
それから、逗子駅そばの居酒屋で、有志による懇親会をしました。
そして、JR逗子駅から帰途につきました。(が、さらに有志による比企谷妙本寺でのホタル観賞会があったそうです。)

はっきりいって、鎌倉は何度も来たい魅力的なところだ、と再確認したしだいです。
名越の地については、改めての訪問のうえ、記事を載せるつもりです。