かぶとん 江戸・東京の歴史散歩&池上本門寺

池上本門寺をベースに江戸の歴史・文化の学びと都内散策をしています。

えどはくカルチャー・古文書講座 5

2012-06-10 | 古文書入門
實語教 その5 (テキストの本文 8~9頁)

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雖冨勿忘貧  或始冨終貧
雖貴勿忘賤  或先貴後賤
夫難習易忘  音聲之浮才
又易學難忘  書筆之博藝
但有食有法  亦有身有命
猶不忘農業  必莫廃學文

とミ多(た)つと いへども ひんを ワするゝ□(こと)なかれ
あるいハ 者(は)じめ とミ お者(は)りニ まづし
たつとしと いへども いゆきを ワする□(こと)奈可(なか)れ
あるいハ さき尓(に) 多(た)つとく のち尓(に) いやし
そ連(れ) 奈(な)らひ可多(かた)く ワす連(れ)やすき(□)
をんせいの ふさいハ
ま多(た) ま奈(な)びや春(す)く ワ春(す)れ可多起(がたき)ハ
志(し)よひつの 者(は)く个(げ)い(ハ)
多(た)ゞし 志(し)よく(ニ)あれバ 本(ほ)う(ニ) あり
ま多(た) ミ(ニ)あ連(れ)バ いのち(ニ) あり
なお のうぎやうを ワ春連(わすれ)ざれ
可奈ら寸(かならず) 可(が)くもんを すつる□(こと)奈可(なか)れ

冨たつと雖も 貧を忘るることなかれ  或いは 始め冨み 終りに貧し
貴しと雖も 賤(いゆき)を忘ることなかれ  或いは先に貴く 後に賤(いや)し
それ習い難く 忘れやすき(し)  音聲の浮才は
また 学びやすく忘れがたきは  書筆の博藝(ハ)
但し 食(ニ)有れば 法(ニ)有り  また身(ニ)有れば 命(ニ)有り
猶(なお) 農業を忘れざれ  必ず學文を 廃つることなかれ

9
故末代學者  先可案此書
是學問之始  身終勿忘失
實語教終

可る可ゆへ尓(かるがゆえ)に まつ多(だ)いの 可(が)くしや
まづ この 志(し)よを あん寸(ず)べし
これ 可(が)くもんの 者(は)じめ
ミ(み) をハるまで 本(ぼ)う志(し)つする□(こと)奈可連(なかれ)
じつごきやう おハり

故(かるがゆえ)に 末代の 学者  まづ この書を 案ずべし
これ 学問の 始め  身を終わるまで 忘失することなかれ
実語教 終り