かぶとん 江戸・東京の歴史散歩&池上本門寺

池上本門寺をベースに江戸の歴史・文化の学びと都内散策をしています。

えどはくカルチャー・古文書講座 4

2012-06-09 | 古文書入門
實語教 その4 (テキストの本文 6~7頁)

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不乘四等舩  誰渡八苦海
八正道雖廣  十惡人不往
無爲都雖樂  放逸輩不遊
敬老如父母  愛幼如子弟
我敬他人者  他人亦敬我
己敬人親者  人亦敬己親

しとうの ふね尓(に) のら春(ず)んバ
多れ可(たれか) 者(は)つくの うミを ワ多(た)らん
者(は)つしやうのミちハ ひろしといへども
じうあくのひとハ ゆ可(か)春(ず)
むゐの ミやこハ 多(た)のしといへとも
本(ほ)ういつの ともがらハ あそバ春(ず)
をひを うやまふ□(こと)ハ ふぼの□(ごと)し
いとけ奈起(なき)を あいするハ していの□(ごと)し
ワ連(れ) 多(た)尓(に)んを うやまへバ
多(た)尓(に)ん また ワれを うやまふ
ワ連(れ) ひとの おやを うやまへハ(ママ)
ひと また ワ可(が) おやを うやまふ

四等の舩(船)に乗らずんば  誰か八苦の海を渡らん
八正の道は広しといえども  十惡(悪)の人は往かず
無爲の都は 楽しといえども  放逸の輩は 遊ばず
老いを敬うことは 父母の如し  幼けなきを愛するは 子弟の如し
我れ 他人を敬えば  他人 また 我れを敬う
己(わ)れ 人の親を敬えば  人 また 己(わ)が親を敬う

四等の舩・・・身法をいい、佛の道を指す
八苦・・・生老病死の四苦と愛別離苦、怨懀會苦、求不得苦、五陰盛苦
八正・・・
無爲の都・・・悟りの理想郷

7
欲達己身者  先令達他人
見他人之愁  即自共可患
聞他人之喜  則自共可悦
見善者速行  見惡者忽避
好惡者招禍  譬如響應音
宛如隨身影  修善者蒙福

おのれ可(が)ミをバ 多(た)つせんと 本(ほ)つせバ
まず 多(た)尓(に)んを 多(た)つせせしめよ
多(た)尓(に)んの う連(れ)いを ミてハ
すなハち ミず可(か)ら とも尓(に) う連(れ)ふべし
多(た)尓(に)んの よろこびを きいてハ
す奈(な)ハち ミず可(か)ら とも尓(に) よろこぶべし
ぜんを ミてハ 春(す)ミや可(か)尓(に) おこ奈(な)へ
あくを ミてハ 多(た)ちまち さけよ
あくを このむものハ ワざハひを まねく
多(た)とへハ ひゞきの おと尓(に) おふ春(す)る□(ごと)し
あ多可(たか)も ミのかげ尓(に) 志多可ふ可(したがふが)□(ごと)し
ぜんを しゆする ものハ さいハいを かふむり

己が身をば達せんと欲せば  まず他人を達せしめよ
他人の愁いを見ては  即ち自ら共に患うべし
他人の喜ぶびを聞いては  すなわち自ら共に悦ぶべし
善を見ては 速やかに行なへ  悪を見ては たちまち避けよ
悪を好む者は 禍いを招く  譬えば 響きの音に応ずるが如し
宛も 身の影に随うが如し  善を修する者は 福(さいわい)を蒙り

(続きます。次が最終回)