十如是 (十如)
「 所謂諸法。如是相。如是性。如是體。如是力。如是作。如是因。如是縁。如是果。如是報。如是本末究竟等。」 (方便品・第二)
大乗仏教の真理をあらわす概念。「真如」に通ずる意味を持っている。
諸法実相(もろもろの存在の真実の姿)を十種の範疇で説明したものである。
如是相 相 ものの形相・属性。
如是性 性 ものの特性(本質・性質)。
如是體 体 ものの形体。
如是力 力 (潜在的)能力。
如是作 作 (潜在的)作用。
如是因 因 ものが生ずるための直接的関係。(直接的原因)
如是縁 縁 ものが生ずるための関節的関係。(間接的原因)
如是果 果 因に対する結果。(直接的結果)
如是報 報 報いとしての結果。(間接的結果)
如是本末究竟等 始(本)の「相」より末の「報」までが皆、平等である。
この十如是は、すべての存在に皆、具有せられるものである。
(梵文原典の訳文には十如是はない。表現が微妙に異なる。)
十界
「地獄・餓鬼・畜生・阿修羅・人・天・声聞・縁覚・菩薩・仏」という十の世界。
十界互具
これら十の世界が互いに具有し合って(互具)百界となる。(十×十=百)
三種世間
衆生世間(人間社会)・国土世間(環境世界)・五陰(おん)世間(五陰は五蘊、色・受・想・行・識という五つの要素)を三種世間という。
一念三千
一念三千とは、われわれのかすかな心(一念)の中に、仏と悪の世界を含めて三千という森羅万象が具わっているという思想。一切衆生の成仏の原理となるもの。
十如と十界互具と三種世間によって「一念三千」の法門が成立する。
十の世界が互具し合って百界となる。その百界がそれぞれ十如を具えているので千如となる。千如は三種世間に即して展開しているので三千となる。
参照 『法華経(上)』 岩波文庫
『ものがたり 法華経』 山喜房佛書林