去年の春頃の話である。山梨の別荘付近を管轄してる警察から電話がかかってきた。頭を過ったのは母が交通事故に遭ったか病気で倒れて何処かで保護されたということだ。しかしそうではなかった。母がJAで大きなお金を下ろしたんだけど、JAが母に尋ねたところ疑問を持ったらしい。
警察は母の乗ったバスを追いかけてる最中なのでまた電話すると言った。暫くして警察から電話があった。今度はそこに母が居て 「 補聴器を…、85万円… 」JAに電話して確認したら警察の言う通りだった。警察に補聴器販売詐欺に関して聞いたけどそれに関しては埒の開かない返事。警察はオレオレ詐欺以外には眼中に無いようだ。
補聴器を扱っている佐久市内の店に電話で聞いてみた。するとその店の最上位機種だと両耳で80万円くらいになると言う。近所に住んでる叔母に頼んで別荘に行ってもらってみたけど心配無いと言う。その後別荘にも行ったけどテレビのボリュームは以前より小さかった。補聴器はそれなりに役に立っているようだ。ただ
電話との相性はあまり良くないようだ。
結局詐欺でも何でもなかった。母が買うのがどんな物かは分らないけど85万円というのはベラボーな金額ではなかったのだ。いや、85万円はベラボーだよ。
母は自分の金を使うのに一々相談なんてと言い張るがこういう騒ぎになる年頃なのである。もし補聴器の話を俺が聞いてれば最初に警察から電話があった時点で警察の仕事は終了だったのだ。しかも屋根を直すとかテキトーな事を言ってるからそれが話をこじらした。家族間の会話不足で警察に余計な仕事をさせてしまった。
警察は母がしっかりしてるので騙されてない可能性も考えていた。当の本人も騙されるわけがないと妙に自信満々。でもね、こういう自信が危ないのだ。今まで色々な失敗を見ているし自分でも経験してる。案外その人の得意分野で失敗してるんだよな。今回念を入れるなら警察にも電話すれば良かった。そんな案件は無いですよとかそんな刑事は居ないよなんてこともあり得るからだ。