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John Lewis / Piano ( 米 Atlantic 1272 )
ジョン・ルイスは最初からこんな朴訥としたピアノを弾く人だったわけではない。 ビ・バップ初期からプロとして活動していて、普通にバップの演奏をしていた。
その頃の演奏は例えば初期ブルーノートの管楽器奏者のアルバムで聴けるし、結成直後のMJQでの演奏なんかもそうだ。 モンクやシルヴァーらに混じって
演奏しているのを聴く限りではとても上手いけれど特に個性的ということはなく、平均的なバップ・ピアニストだったと思う。
それがMJQがクラシック音楽との融合というコンセプトを固めた辺りから当然のようにルイスのピアノも変化し始める。 饒舌なミルト・ジャクソンに手綱を掛けて
背後から締めるかのようにグッと音数を落として感情的なものも排して弾くようになり、ここにジョン・ルイス・ピアノが誕生する。 つまり、このピアノスタイルは
速く走りがちなヴィヴラフォンとの対比のために編み出されたのであり、ある意味ミルト・ジャクソンがいたから出来上がったと言っていいかもしれない。
その究極の姿がこのアルバムで聴ける。 思慮深いチェス・プレーヤーが考え抜いた末に動かす駒ように、ピアノは一音ずつゆっくりと進む。 足早に家路に着く
人々の流れの中をただ一人物思いに耽りながらゆっくりと歩いている人のように、その姿は際立って目立つ。
スタンダードも演奏されているが、原曲のメロディーは曖昧にぼかされている。 だから自分の中にジャズという音楽のストックがたくさんないと、この演奏の良さ
みたいなものを享受するのは難しいかもしれない。 雰囲気だけで楽しむには、いささか独特過ぎるだろうと思う。
それでも、一度ハマれば繰り返し聴きたくなるアルバムになる。 アトランティックにしては珍しく残響の濃い音場感で聴かせるところも良い。
深夜に灯りを落として、一人で静かに聴くのがこのアルバムには相応しい。
いつも楽しく読ませていただいています。
この記事を読んでジョンルイスピアノを聞いてみたくなり、ebayで黒ラベルを買いました。これでVG+?というようなコンディションでホントebayのVG+は当てになりません。女の言うカワイイ子並みに。さて置き内容はスイングしてないようで実はスイングしてる、味わい深い演奏ですね。聞き手を試すような、突き放すような。でもついて行きたくなります。もっと聞きたくなり前記事のメディテーション〜をステレオブルズアイで、ワンダフルワールドをステレオ白ファンで買いました。どっちも状態はいいのに千円台。ジョンルイス、人気ないんですかねぇ。とっつきにくい?まあ自分も今まではそうだったわけですが。どちらも滋味溢れるいい演奏でした。飽きない。MJQも今まで真剣に聞いてこなかったんですがこれから深掘りしてみようかと考えています。
私はもうebayでは3年くらい買ってません。 おっしゃる通り、コンディションが信用できないからです。 特に、アトランティックのような材質の柔らかい盤は傷に弱いですから、難しいですね。
ジョン・ルイスもMJQも、もはやまったく人気ないようです。 私も、この辺はいつも2,000円台で買ってます。 安いのはありがたいのですが、複雑な気持ちです。
どちらもある程度の年季を経ないと、本当の良さはわからないのかもしれません。 最近、そんな風に思います。 ぜひ、深掘りしてみてください。