セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

喪脚記 その7

2022-06-05 15:50:00 | 文化



僕の1ヶ月を超える入院は同室の患者に比べてもだいぶ長いようだ。でも僕が重篤というわけでなく退院する人々よりも確実に元気だ。僕の入院期間が長くなるのは僕の病状(?)に特長があると思われる。よく手や足を失った人が、無いはずの手や足や足があるような感覚がするという。僕の場合がそれで、切り取った足がまだあって地に足が付いている感覚がすることがある。こ無い脚の部分が傷んだりしびれたりするのはいつものことだ。

問題なのは右脚が今でもある感覚があるので、うっかりその感覚に基づいた行動をしてしまうことである。ある時寝ぼけていたので車椅子に移る特、右脚が地面を踏んでいるように思い込み左脚を出してひっくり返ってしまった。右脚の切り口が地面に触れた気がしたが、さいわい出血もなにもなかった。こんなわけで僕が車椅子に乗るときは必ず介護がいる。だから偽の感覚がなくなるまで僕の退院は無いかもしれない。

ただ医療処置はもうないので、リハビリのための次の施設が空き次第そちらに移されそうだ。義肢ができて、それに慣れて日常生活に支障なく暮らせるようになるのはいつか。