セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

東日本大震災に思う

2011-03-19 16:15:57 | 社会経済
まず福島第1原子力発電所の放射能漏えいと炉心溶融はそれ自体が今そこにある危機として第一の問題だが、その危機の度合いの評価は素人にはわかりかねるので専門家にゆだねるしかない。

だがこれが災害復興上の大きな障害であることも確かなので、そちらの方を考えてみよう。災害復興上の障害とは、第一に「屋内退避地域」が東北地方への道路網に存在し、外部からの支援物資の流通の妨げになっていることだ。第二には福島第1原子力発電所が鎮静化しないと、その退避区域にある福島第2原子力発電所が再開できないことになる。緊急停止している第2発電所を再開するには安全性の点検の上再開してもすぐには臨界に達しないが、第2原子力発電所が再開しないと関東地方の計画停電が続くことになる。そうなると災害支援上の障害の他に日本産業全体に大きな障害になる。将来的には原子力発電所の存在自体が議論の中心になるにしても、いまは第2原子力発電所の再開に頼るしかない。したがってあらゆる方法を用いての第1原子力発電所の早急の鎮静化を期待したい。

ニュースによると被災地の市町村役場も人的物的に大きな被災を受けている。でも残った職員が区域の災害状況の確認や連絡を行おうにもガソリンがなくて動ける機動力がなくなっているそうである。で、僕の感想なのだが、被災地域には膨大な数の被災車両が転がっているのではないだろうか。そうした車両のガソリンというものは車が水に流されたときにすべて流出してしまうものだろうか。もし必ずしも全部流出したとかタンクに海水が混じっていないようならそこから抜きだして使えないだろうか?もちろんキーが付いてない車がほとんどだろうが、バール等で給油口をこじ開ければよいだろう。被災していない車は私有財産であるから手を付けられないが、役場に車両自体がない場合は(映画の手口でコードを結び)利用させてもらうのも緊急避難的に許されると思う。僕が当該市町村役場の職員だったらバール(またはくぎ抜き)とホースとバケツを持って片っ端からは被災車両を調べてガソリンを抜いていただろう。

次に遺体の問題である。夏でないので身元不明のまま遺体をまとめて野焼きするという必要性に迫られることはないであろう。だから身元が分かって家族親族が一人でも付き添ったものから火葬にするしかない。しかし津波被災地区だけでなく広範な地域では地震で火葬場が破壊されているという。この面でも意識して災害復興に力を入れる必要がある。

次に円の急騰の問題だ。東日本大震災が日本経済の先行きを暗くしているのに、円が急騰している。新聞の解説は支離滅裂である。保険会社が支払いに向けて海外資産を売って円に替えるためと言いながら、日本の保険会社にはどこもその必要ないと言っているとか。またなにか大きな変動があると通貨は不安定な外貨より安定している円が好まれるからという。でも大災害が起こったのは日本なのだよ

円急騰の正しい解釈は、外部ショックにより円が本来の価値に近づいたということだ。ちょうどビンの中のキャンデーがいっぱい詰まっているようにみえてもポンポンとそこを他立ちたら本来の量に見えるようになったように。

たとえば過去に1ドル100円だった円が80円になったらドルに対して円が高くなったという。たしかに通貨自体の交換比率ではそうなのだが、2つの国の通貨の価値ってどうして決まるのだろう。たとえばある年の時点でほぼ同じ性能の自動車が日本では100万円して、アメリカでは1万ドルした。この年の為替レートは1ドル=100円であった。これは通貨の価値と物の価値が釣り合っている。これはアメリカで買っても日本で買っても値段は同じになる為替レートだ。これを購買力平価という。ところがアメリカではずっとインフレが進んでいまではある性能の車は1万2000ドルとなったとする。しかし日本ではずっとデフレで同じ性能の車は80万円となっているとする。日本でもアメリカでもドルで支払う人も円で支払う人も同じ金額で払ったことになるには、800,000円÷12,000ドル=66.67円/ドル、つまり1ドルが66.67円の場合どちらの通貨で買い物をしても損はしないわけである。1ドル100円のときからみれば1ドル90円でも80円でも円高である。だからここ20年はずっと円高だったと言える。しかし購買力平価でみれば円高の時も円安の時もあった。輸出が急に伸びたときは購買力平価では円安だったのだ。2年ぐらい前の推計では野口悠紀夫さんも池田信夫さんも購買力平価では1ドルが60~70円が妥当と言っていた。現実の為替レートは取り引きで決まるにせよ、基盤にそうした実体があることを忘れて円をジャブジャブすれば円安になってみんなハッピーというのはあきれた限りである。

しかし大災害時の現実の円高は干天の慈雨かもしれないね。食糧およびエネルギー等緊急に輸入を増やさなければいけない物が多いから。