黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

「騙される側の罪」(その2)

2014-09-05 10:10:19 | 仕事
 5人の女性閣僚を登用して、「新しさ」を演出しようとしたのだろうが、登用された女性閣僚のいずれもが「安倍シンパ」と呼ぶべき、およそ「フェミニズム(女権拡張主義)」などとは無縁な、「男性原理」を象徴する「戦争への道」を肯定してきた(安倍首相の主張に同調してきた)女性たちばかりで、安倍改造内閣がよりタカ派になったことを如実に示す以外の何者でないのは、「女性閣僚の大幅登用」にほんの微かだが期待していたことの「愚」を今は痛感している。
 特に、最年少の小渕優子新経産大臣については、まだ幼い子供の母親だということ、またこの間の「子育て」で、「フクシマ」や「放射能」について敏感なのではないか、とこれも微かな期待を寄せていたのだが、原発再稼働・原発輸出の熱心な安倍首相に選ばれただけあって、今朝の「閣僚インタビュー」のニュースを見ていたら、「原発再稼働は急がなければならない」といった主旨の発言をしていて、「ああ、お前もか」と思わざるを得なかった。
 概して、保守派の政治家たちは、財界――保守派への「政治献金」を再開するという。「企業献金」を止める代わりに「税金」から「政党交付金」を払うという政策はどこへ行ってしまったのか。何とも国民を馬鹿にした財界の発現である――に後押しされた「原発再稼働」に賛成だが、フクシマのことをどう思っているのか。未だに15万二を超える人が住み慣れた我が家や故郷を離れて「避難生活」を強いられているのに、また、福島第一原発の汚染水処理をはじめ「廃炉作業」だってままならないという現実が存在するというのに、そのようなことは彼らの目に入らないのだろうか。
 フクシマで出た放射能汚染物質の「中間保管所」(といってるが、これまでの保守政治のやり方を見ていれば、30年経ったら、「最終処分場所」が見つからないから、「中間」ではあるが「延長しよう」、ということになるのは必定である)が決まったから、もうフクシマは「収束」したと思っているのだろうか。元原子力ムラの住人だった人間(田中某)が委員長を務める原子力規制委員会が「再稼働OK」と言ったから、何の根拠もない「世界一安全な日本の原発」は「再稼働」もOKだし、「輸出」もOK,その「OK」をだすのが経産省(経産大臣)だとしたら、あのかわいい顔をした(差別的な言い方だが)小渕優子は、安倍首相の「傀儡=操り人形」としてしかその役割を果たせないのではないか。
 僕らは、外見に騙されてはならない。あの「かわいい顔」をして(ソフトな感じで)「原発再稼働」「原発輸出」を命令する(であろう)小渕優子に、「騙されてはならない」のである。
 いささか神経質は言い方になったかも知れないが、僕らはもう一度戦後まもなく「騙される側の罪」について言及した伊丹万作の思想について、噛み締めるべきだと思う。
 それは、「日本国家法」第9条の条文をきちんと素直に読まず、国連憲章で「集団的自衛権を認めているから、安倍政権の集団的自衛権行使容認は間違っていない」などと半可通に言い募る輩と決別する思想を鍛えることでもある