牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

子牛は宝物

2008-04-19 12:03:18 | 牛の成長
とくに、黒毛和種の子牛が生まれれば、畜主はニンマリである。
子牛市場に出せば、その平均セリ価格は50万円前後もするからである。
ここ数年、子牛価格は高値安定である。これまで肥育経営者は、飼料費や枝肉価格が安定的に推移してきたため、多少の黒字であった。が、今にいたり、飼料の超高騰と品薄感、燃料費等の高騰等が、経営を厳しい現実へと押しこもうとしている。
その点、繁殖経営では、肥育のように配合飼料を多給しないため、自給飼料等を上手にやりくりすることにより、経営を安定化できる。しかし、従来のような全てが輸入飼料一辺倒の手法では、その改善は実現しない。酪農経営においても、広い草地を持ちながら荒らし、輸入飼料に頼ってきた付けが、そろそろ廻ってきそうな状況にある。和牛の繁殖経営の場合も、現実は薄利多売的に多頭化して、安定的な子牛の供給と経営改善への努力を期待したい。
子牛価格のことはさておき、子牛が生まれることは、貴重な資源に恵まれたことになる。つまり様々な意味で宝物なのである。子牛市で、価格で子牛を評価するが、その牛の能力を見極めて評価しているわけではなく、市場の名簿から、生後日数、市場での体重、血統、発育に支障のあるような特徴や経歴等を調べて、購買者間の駆け引きを含めての評価である。増体や肉質など潜在的が能力を見極めたわけではなく、これらの情報を素に自らの経験的カンを駆使しての結果である。だが、購買者の飼育環境や肥育技術と取り組みの姿勢によって、子牛は、良くも悪しくも自在にそれなりの結果となる。
最悪の場合は、事故や病気が基で、死亡することも多々ある。逆に血統など差ほどの期待をしなかった子牛が、枝肉単価3,000円を付けることもある。
また子牛には特例的に最新情報を駆使し選別した子牛を種雄牛に育成し、和牛改良に大きく貢献する子牛もいる。
それに、つまりは我々の貴重な蛋白源として有用な食糧になること事態が、牛は宝物なのである。
この様な宝物は大事にしっかり育てたいと思う。
その一方で、和牛に関わる改良や育種学等に貢献している関係者も、5年や10年先の改良ではなく、先達たちがそうであったように、さらに将来的なビジョンを打ち立てて、取り組んで貰いたいものである。
様々な畜産県がある。行政の立場から真剣に取り組んでおられる。しかし、その結果が、例えば農家の和牛経営にマイナスとしての影響を与えているケースもある。
府県独自で、優秀な種雄牛を育成したから、農家は率先して交配するように指導する。結果は、他県産や民間の種雄牛の産子より、かなり劣悪で、子牛価格も10~15万円も安価に引き取られ、その挙げ句、生産意欲が低下して和牛飼養から手を引くケースもある。技術者は井の中での技術や、自らの業績優先でなく、せめてもの税金でサラリーを得ている方々は、納税者の農家の、利益となるための技術を展開して貰いたい。
また、肥育成績において、その取り組み方にもよるが中々上物率が上がらない現実がある。しかし、それが横ばい状態であれば、まずまず及第点である。それは、専門家に経年的に例えばロース芯の一部の脂肪含量を測定して貰うとしたら、おそらく年々その数値は上がっているはずである。例えば、00年度のBMSナンバー12の写真があるが、それを現時点での格付けで比較するなら、BMSナンバー8~9程度であるる。技術は肥育の現場でも進歩しているのである。
この格付けの良否は判断が分かれるところであるが、これらの現実から、雌牛群や種雄牛のかかる能力は確かに改良されていると言えよう。
日々生まれる宝物は貴重な資源として、その存在価値をいぶし銀の如く輝かせているのである。



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