牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

待機牛並の飼育が未だに影響している

2010-09-29 01:02:25 | 繁殖関係
岩手に続いて、今朝南西諸島から1車到着した。
二月おきに開催される市場であるので、そろそろ待機牛の必要は差ほど無いはずであるが、
相場も下落し、何故か当該市場全体の子牛が通常ではなく、去勢子牛でも、華奢で繊細な感じがして雌牛かと思えるほど、かなりの発育不良が見られた。
平均日令は約310日で、市場測定の平均体重は約240kgであり、DG値は0.7kg以下であった。
全体的にこれらの数値が低いことは、口蹄疫の問題がらみで、長期の待機が予測された頃にJAなどの指導で、飼料給与等はやや抑えめにとの指導があったことを生産者から聞いたことがあったが、それらが今回の子牛らにも影響していたものと判断している。
この状態が改善されなければ、次回の子牛らのことも気がかりである。
この春まで同様に、DG0.9kgを確保する飼い方に戻し、通常の商品価値のある子牛生産に日頃から心がけるべきであったと考えられる。
今回の同市場でもDG0.9~1.0kgの去勢子牛は、44~45万円程度の競り値であり、正常な発育を保持することの良否が伺われている。
一方、この現状からにわかに改善しようとする意図から、濃厚飼料主体で給与量を増加させるなどは、さらに深刻な事態が想像される。
それは、子牛の時期からの濃厚飼料多給は、肥育段階になってから、ルーメンアシドーシスなどに罹りやすいからである。
予め、このような悪循環にならないような飼育設定を策定し実施して頂きたいものである。
これには粗飼料と濃厚飼料の給与バランスなどについて、日本飼養標準を参考とした飼い方に改めるべきである。
あまりにも、低コストが故に、母牛も子牛たちもひもじい思いをしてきた結果となっているが、これでは牛ら自体"モウ達せがない"と泣き叫んでいたに違いない。

写真は、岩手産子牛であり、疲れから一斉に休息中の状態である。