牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

導入以前に打たれる予防注射

2010-09-13 22:53:13 | 子牛

年間500~600頭の肥育素牛を導入していると、導入して2~3ヶ月以内で、ヘモフィルスやRSウイルスが原因による疾患で死亡させることが珍しくない。
その都度、市場開設者宛にクレームを付けて確実に接種したかを問い合わせるのであるが、確実に接種しているので、市場や生産者の責任はないという回答が届く。
多くの場合、このような水掛け論で、泣き寝入りせざるを得ない状況である。
宮崎県や岩手県の場合は、市場名簿の説明メモに五種混合とヘモフイルスワクチンは全頭接種済みであると記述してあるのみである。
鹿児島県と京都府では、子牛登記書の裏にワクチン名と接種日が記録されている。
京都府の場合は、それに加えて接種した獣医師の署名付きである。
生産県により、その対応はまちまちである。
導入直後、2回目のヘモフイルスを接種する場合、鹿児島県や京都府産の子牛の場合は、前回の接種日が記されていることから、接種間隔が割り出せて、躊躇無く対応できる。
その他の県の場合、競り市直前に接種されていれば、導入直後に2回目の接種では、その間隔が短すぎることになる。
これらの産地の場合、予測しながら接種している状態である。
本来ポジティブリストやトレサビリティーの記録を全うする上では、いつ、どこで、誰が、何を接種したかを記録しなければならないはずである。
また、何らかの原因不明の疾患が発症した場合、家畜保健所へ採血などで原因調査を依頼することがあり、その際、接したワクチン等の詳細を聞かれることがある。
これらのことを考慮に入れれば、鹿児島県や京都府の場合は、問題のない対応がなされている。
頭数を日本一抱えている鹿児島県のケースをして、頭数が多いから面倒などとは、他の産地ではいえないはずである。
これが、購買者つまり消費者へのサービスであり、疾病記録の提出まで要望はしないが、関係者のまじめな取り組みを期待している次第である。