牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

忠富士号

2010-05-22 20:45:29 | 牛の角
早朝からとてもやるせないニュースが届いた。
宮崎県の種雄牛の取り扱いに物議が取りざたされただけに、関係者ならずとも唖然とされていることであろう。
貴重な遺伝子源を死守したいという関係者の法定伝染病予防法を圧しての措置も空しい結果になろうとしている。人の成せる限界をまざまざとかかる結果が差し示したことになる。
昨年春から宮崎産の素牛を導入してきた。
忠富士号や福之国号は馴染みの種雄牛となっている。この種雄牛の産子だけでも150頭に及んでいる。
当センターでは、未だこれらの産子の肥育結果は1頭も終えていないだけに残念でならない。
今更愚痴をこぼしたくはないが、本来公の施設なら範を示すが当然である。
立地や感染の強弱を考慮する限りでは、そのことを軽々しく責められないが、同疫が終息を迎えたとしても、他県からの導入がない限り種雄牛の育成には6~7年を要する。
当面は保存中の凍結精液の利用か、家畜改良事業団などからの他力本願となる。
宮崎県の畜産は養豚を含めて未曾有の危機を迎えることになる。

口蹄疫

2010-05-22 01:39:50 | 牛の病気

いよいよ口蹄疫発症地から10km以内の家畜が殺処分される。
実に嘆かわしい事態となった。
養豚・養牛いずも様々な嘆きや悲痛の中で実施されることとなる。
この事実を防疫関係者や行政担当者は、非ハート的に捕らえず真剣にハートのこもった処理をしてもらうが、生産者一人一人の思いであろう。
長い間、家畜とともに生計を立て、心血を注いできた畜主の方々であり、家畜の1頭1頭がいわば家族同様の生き物たちなのである。
これほどまでに強い感染力のある伝染病はないと専門家に言わせるほどの口蹄疫により、畜産団地が壊滅状態になろうとしている。
心ならずもこれほどまでに至るとは、政府も県も予想だにしなかったのであろうが、その認識に担当者の甘さがあったことは、この状況をシビアに把握できる限り、斯様に判断せざるを得ない。
他所への感染の影響力と補償問題が天秤にかけられがちな状況でもあるが、この際の保証は言い得くではなく、此度の事象は国民が等しく認識しているだけに、政府や自治体の対応次第で生産者への理解は得られるはずである。
今は、感染防止に一刻を争う時であり、その効果的な対策が優先されるべきである。
それにしても、今回の事象では、日本の防疫専門家のノウハウが活かされていない。
陣頭指揮するトップが居ないとコメントにあったが、そのような専門家は実在していないのだろうか。
感染経路などの調査団は当初に組織されたままであるが、政府の感染を断つための対策本部は機能しているのであろうか。
「なんとかせんといかん」と意気巻いていた頃の知事の勢いをすれば何とかなるはずであるが・・・。
今や、近隣県などだけでなく、全国的に畜産関係者は同感染に怯えながらの毎日である。
政府には、映画「日本沈没」に見られたような危機意識が希薄であるとの不満が関係者に見られるが、一刻も早い終息への手だてを期待している次第である。