牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

牛の各部の名称

2008-04-07 20:37:03 | 牛の躯
牛の身体は、大まかに頭頚部、前駆、中躯、後躯からなる。
頭部は前回説明済みであるが、頭部と前駆の間に頸部があり、通称頭頸部と称している。前駆は肩と胸の大部分。中区は胸の極一部と背腰と肋腹。後躯は尻と腿を言う。
牛の躯は各部との境が線を引いたように鮮明ではなく、丸みや起伏があることから、牛全体を見ながら、大まかにこの部位という風に印象づける。中でも判断に窮する部位が胸である。
頸は頭部の後ろから肩までをいい、短めで幅厚のあるものがよい。
胸は肩や前肢の前後にあって、前側を前胸と言う。肩の後ろから左右の前肢の間と体の下の線の部分である胸底を胸と称している。前胸は、幅があり福よかな形をしているのがいい。前胸の形を子牛の導入条件にしている購買者がいるほどである。胸も体幅に添って幅があり、胸底は平らで広いものがよしとされる。
肩は前肢を支えている部位である。人の場合は、両手を真横に挙げると、その真ん中は肩である。人は肩に腕が関節で繋がっている。牛や鹿等の場合は、関節で繋がっていない。ちなみに後肢は腰骨とは関節で繋がっている。
肥育牛は、体幅が有るほど体重が大きい。肩幅も体幅と直接的に関係しており、その幅広さが有るほどいい。平茂勝という種雄牛の出現以来、肩幅の広い牛が全国的に広まり、和牛の枝肉量を拡大させた。
肋腹は肋骨のある部位を肋と言い、それから下を腹部という。
発育や増体の良い牛は、肋張りがよい。肋張りがいいと言うことは腹容が大きいことに繋がり、餌の摂取量が大きいことになる。肋腹はその牛の増体能力を最も左右する部位である。
背腰は、牛個々の筋肉の中で、最も大きい筋肉である胸腰最長筋つまりロースが位置する。だから、背腰は長さと幅、深さが豊かなほど、ロースとそれに付着する棘筋などの筋肉を大きく生産することになる。因みに背にあるをリブロース、腰にあるをサーロインロースという。
牛の尻幅も広いほどよく、尻は左右に傾斜しているが、傾斜角度が平坦に近いのがいい。
一般的に腿は、きゃしゃなものが多いが、腿さがりが良く、腿幅があり、全体的な厚みが有るのがいい。腿は上腿と下腿からなり、上腿は形がよいが、下腿は下方ほど貧弱であるが、腿さがりとは、この下腿の形が良いことを言う。
牛の躯の上の直線を体上線、下の線を体下線と言うが、これらは垂直なほど良く、牛を横から見た場合、長方形をしているほどいいとされる。後方から見た場合も縦長の長方形が好ましく、出来るだけ横幅のあるのがいい。
肢蹄は肩や腿の下方に位置する部位をいい、膝やスネ、蹄をいう。牛は正しい姿勢で立てる牛でなければならない。正しい姿勢は、肢蹄が強く、大きな体重を支えるのに支障がない。足首つまりツナギが弱い牛は、体重が重くなれば、起立不能になることもある。また、蹄つまり爪は伸びるので半年毎に定期的に爪切りつまり削蹄が必要である。必要以上に蹄が伸びれば、体形が崩れたり、食欲不振になり、順調な増体が期待できない。