さよなら三角また来てへなちょこ

食い意地先行の放浪ブログ。たまにはHIVの事。

カンペンケースを6年間、ずっと持っていたあの頃と、今と。

2010年04月21日 00時58分27秒 | いろいろ
先日、お店関係の、知り合いに、誘ってもらって、
久しぶりに、お芝居を観てきました。
もしかしたら、組合員にはご存知の方も多いかもしれません。
そんなわけで、場所は池袋・シアターグリーンBOX。
総天然色痛快娯楽活劇「カラーチャイルド」で、タイトルは、「BORG(ボーグ)」。


……


おばあちゃんが、学校でいじめられていた孫に、
少しでも学校に行くのが楽しくなるようにと
買ってあげた、両面開きの筆箱。
いつの日か、孤児院で暮らすようになった子供は、
勉強や絵を描くのがとても好きになり、
毎日、大切に筆箱を学校に持って行った。

本当は言葉を話せたり、動くことができることを、
人間に知られてはならない文房具たちは、
子供の思いに応えようと、日々を過ごしている。

そんな、ある日のこと。
同じ孤児院に新しくやってきた、とっても気弱な子供が持っていたのは、
テレビで宣伝していた、ルーペが飛び出したり、人気のキャラクターがあしらってある、
多機能型のペンケース。

そんなペンケースの登場に、文房具たちの気持ちが揺れ始めます。

…こんなストーリーからはじまり、
最後には、子供の頃から思春期に使った文房具に対する、いろんな思い出や気持ちが、
大人となって今、鮮やかに蘇り、過去と現在が結ばれていきます。


執筆業をしている人とか、画家とかは別として、
文房具って、学校の頃、一番使っていたじゃないですか。
しかも、大人になってしまっては、ただの道具かもしれないけれど、
子供の頃は、筋肉マン消しゴムなどに代表されるように、それ自体が思い出だったり、
深夜まで頑張った試験勉強や、突然引越した遠くの友達に手紙を書いたり、
ツールとしても、僕らの人生に深くかかわっているような気がするんですよね。

その一方で、大切に扱わずすぐに壊したり、なくしたり。
すぐに飽きてしまって、使わなくなってしまったり。

文房具が、僕たちにかかわってきた人生。
きっと誰にでもあるはずの、懐かしい思い出の文房具、
あの時、あのカンペンケース、あのシャーペン。
落とすと、うるさくて、迷惑がられて、それでも、
ずっと持っていたはずだったのに、あれから、一体、どうしてしまったんだろう。。

そんな思いを巡らしながら、ステージの上で繰り広げられている、
ストーリーの行方を観ていたら、心がぎゅっとつねられて、そして、心が躍り、
演者の演じる役の背中を、文房具たちと一緒に客席から押してあげたくなりました。


それとは別に、なんつーかですね、
セットがないゆえに、俳優のみなさんが繰り広げる動きもそうだし、脚本もそうだし、
とても想像力豊かなんですね。
観客も、同じ演者がセットになり人間になり、入れ替わりの激しさもあり、
想像力を働かせて観なければいけないという意味で、とても楽しいお芝居でした。

公演は、残念ながら、今週、火曜日まで。
また、秋にも、公演を予定しているということなので、
楽しみに待つことにしましょうか。