ほぼ是好日。

日々是好日、とまではいかないけれど、
今日もぼちぼちいきまひょか。
何かいいことあるかなあ。

眠り姫?

2007-01-26 | 読むこと。
今週は忙しくて、気がついたらもう金曜日
確定申告の準備もしないといけないし、今年は次女の受験があるし、当分肩こりとストレス太りとの戦いです
ただ、ありがたいことに今年は体調もよく、今のところ風邪ひとつひいていません。去年は次女のクラブの朝錬で朝が早く、睡眠時間も短くて心身ともにきつかったのですが、今年はそれを思うとラクチンなこと。
人それぞれ自分なりの健康法というものがあるのでしょうが、私の場合、とにかく眠ること。それにつきます。ちょっとしんどいなあ、と感じたときや、いやなことがあったとき、落ち込んだときも寝るに限ります。眠ることでココロもカラダもリセットできるのでしょうね。今は、あったかい布団にもぐりこむときが、一番幸せかも・・・。

こんな私も、子どものころは寝つきの悪い少女でした。お布団の中で目をぱちくりと開けて、ぼーん、ぼーんと時計の音を数えたものです。そんな眠れない夜にはいろんなお話をつくっていたわけですが、その空想癖はこの年になっても失われていません。残念ながら、アイデアはすっかり枯渇してしまいましたけれど。

お話がおもしろいときは、とにかく早く布団に入りたくて、次から次からお話の続きを考えたものです。でも、そういうときって(今から思うと)、たぶん現実があまりおもしろくなかったから、なのでしょうね。
中学に入り体育クラブに入部したら、疲れてお布団に入ったとたんにこてんと眠ってしまい、もうお話をつくる余裕も(そして必要性も)なくなってしまったのでした。


けれど、もし夢に魅かれて、眠りから醒めなかったらどうなるのでしょう。
そんな不思議な漫画があります。



     『星の時計のリドル』
      内田 善美 作


出版されて、もう20年ほど経つのでしょうか。当時私が大好きだった漫画家内田善美さんの作品です。
彼女の一連の作品を長女が甚く気に入り、最近になって、この漫画に出てくるポーの詩を図書館であれこれ探してもらってやっと手に入った、といういわくつきの漫画なのです。おかげで私まで久しぶりにこの漫画を読むはめになりました。

浦沢直樹氏といい、この内田善美氏といい、漫画というより文学に近い奥の深さを感じます。というか正直言って、難しくて今読んでも私には理解できませんでした

同じ夢(古い屋敷、薔薇の香り、ポーの詩を誦する少女)ばかりを見、その夢に囚われているヒュー。
ロシアという故国を失い、世界中を彷徨うウラジーミル。

人と関わりあうことを避けてきたウラジーミルが、世界を旅したあとシカゴに戻り、ヒューの夢に否応なく関わりあっていきます。その夢の正体を知るべく、いろんな人に会い、いろんな学説を調べるのですが、ヒューはだんだん夢に囚われていき、いつかヒューを失うのでは、という不安を抱きます・・・。

ヒューの見る夢は何なのか。
彼は一体何者なのか。

登場人物たちがとても魅力的で、彼らの語る言葉はまるで詩のよう(時に学術的で理解できませんが)。彼らの語る夢、憧憬、予感、悲しみ、あるいは哀しみ、時間と空間、そして時空を超えた想い・・・。
内田氏特有の美しい絵と、美しい言葉。読者は時間の流れの外へ、そう内田ワールドに身を委ねるばかりなのです。

俺はね 何者でもない そのことがね けっこう気に入ってる
詩人でもない 画家でもない 音楽家でもない
たとえばさ そういうことが けっこう気に入っている
画家だったら 描かなければならない
詩人だったら 言葉があふれてしまうだろ
音楽家は 感情の一ひだも 葉っぱの一枚さえも 音に変えてしまうんだ
そういうミューズたちを 必要としないってこと 俺はけっこう気に入ってる
風は風のままに 季節は季節のままに 想いは想いのままに
何に変わる必要もない 何に語る必要もない
樹々は樹々のままに 水は水のままに 想いは想いのままに
                   <ヒューの言葉より>


明日は土曜日。たまには目覚まし時計をオフにして、「今日は眠り姫」と決めこみたいものです。でも私が起きないと、我が家では誰も起きようとしないし、朝ごはんもつくってくれそうにありません。
それに、目覚ましかけなくても目が覚めてしまうのは、やはり年のせいかしら・・・。

コメント (2)
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