ほぼ是好日。

日々是好日、とまではいかないけれど、
今日もぼちぼちいきまひょか。
何かいいことあるかなあ。

ルリユールおじさん

2007-09-28 | 読むこと。

        『ルリユールおじさん』
           いせひでこ


私は本が好きです。

まだ若かったころ、悩んだり落ち込んだとき、
どうしても身動きがとれなくなったとき、
救いを求めたのは人ではなく、本でした。

今思うと、それはちょっと淋しいことだなとも思いますが、
不確かな人の思いと違って、
本はとても確かなものに思えたのです。



時代を超えて受け継がれていく本。
そんな本に特別な愛情を注いでいる職人さんがいます。

RELIEUL<ルリユール>
フランスで製本・装幀を手仕事でする職人さんのことです。
この絵本では、そのルリユールの手仕事が、
実に丁寧に、愛情深く描かれています。



ある日、少女が大切にしていた植物図鑑が、
こわれてばらばらになってしまいます。

この本をなおしたい。
少女ソフィーはそんな思いであちこち訪ね歩きます。

そんなにだいじな本なら、ルリユールのところに入ってごらん
ルリユールって、本のおいしゃさんみたいな人のこと?

ようやく見つけたルリユールおじさん。
その工房はソフィーにとって、めずらしいものだらけ。

おじさんは、ソフィーの大切な本を
ひとつひとつ丁寧になおしてくれます。
裁断し、糸でかがり、表紙をつくり・・・。

そして次の朝。
ソフィーがおじさんのところへ行くと、
大好きなアカシアの絵が表紙に生まれ変わり、
本の題もあたらしくなっていました。

『ARBRES de SOPHIE』<ソフィーの木たち>
世界で一冊の本です。

本には大事な知識や物語や人生や歴史がいっぱいつまっている。
それらをわすれないように、
未来にむかって伝えていくのがルリユールの仕事なんだ。

その思いは確かにソフィーに伝わったのでした。



ルリユールの仕事はすべて手仕事。
60以上ある工程を、ひとつひとつこなしていくそうです。

おじさんの回想シーンで、
ルリユールだった父親の言葉が印象的でした。

名をのこさなくてもいい
「ぼうず いい手をもて」

職人といわれる人たちの思いを、
なんと端的に表した言葉でしょう。

まだ学生だったころ、ある人に言われたことがあります。

芸術家といわれる人たちは、
気分がのらないと描かない(創らない)、
ということもあるのかもしれない。
けれど、職人さんたちは、
自分の気分に関係なく手を動かすものだ、と。



淡い水彩で描かれたパリの街は、
抑えられた色調がかえってお洒落な感じを出しています。

ルリユールの仕草ひとつひとつが丁寧に描かれいて、
パリにアパートを借りてまで、工房に通いスケッチした
作者の思いが伝わってくるようでした。



  ***   ***   ***



9/30(土)のNHK朝のニュースで、この絵本がとりあげられていました。
ルリユールのおじいさんも、工房の佇まいも、
ほんとに絵本そのままでちょっと感動しました。

今パリでこの絵本の原画展をしているそうです。

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レガッタ

2007-09-25 | 日々のこと。
この連休に、初めて次女のレースを見に行きました。

今回次女は(4人で漕ぐ)クォードで、
先輩たちと一緒に組むことになりました。
自分が足をひっぱっては大変と、
練習にもかなり力が入っていました。
(おかげで家では勉強もせず、寝てばかり

私も早起きしてお弁当つくってたんだから、
次女が頑張ってる姿を見ておく責任がある!
と、ひとり応援に行くことにしたのです。
(連休なのに、おとーさんは仕事、長女は模試。
 まあ、お出かけしたかったということもあります



中学まで子どもたちはふたりともバスケ部でした。
試合の応援はいつも狭い体育館。
風通しのわるさと、試合の熱気でいつも蒸し風呂状態

しかし、初めてレガッタを見に行って感じたのは、
開放感と風の心地よさでした。

次女が、ボートに乗ってると気持ちいい、
と言っていましたが、わかるような気がします。

見上げれば空。
すぐそばには波打つ水面。
そしてひんやり吹き抜ける風。

練習中、ひとりで漕ぎ出すと、
広い海に(湾内ですけど)ひとりになれのですからね。



レースはなんとものんびりとした様子で行われています。
アナウンスがないと、いつスタートしたのかさえわかりません。
(スタート地点が遠いので)

しかし、漕いでる本人たちは死に物狂い。
次女に聞くと、途中吐きそうになるから、
食事はとらないそうです。

ようやく目の前をボートが通り過ぎていきます。

声をかけ合いながらぐいぐいと漕いで行く高校生たちは、
なんとも力強く、爽やかでした~




一番奥のが次女たちの漕ぐボート
(慌てて、目の前にきたとき撮った写真を失敗してしまいました


朝練の甲斐があってか、見事優勝。
つぎは近畿大会です。
・・・ということは、また5時起きが始まるの~



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『一瞬の風になれ 第二部』

2007-09-19 | 読むこと。

『一瞬の風になれ 第二部』
    佐藤多佳子


先日、クラブの練習に行った次女が、
見慣れないTシャツを着て帰ってきました。

ボート部の練習は波をかぶるので、
いつも着替えのTシャツを持って行ってるはずです。

聞いてみると、引退した先輩から頂いたとのこと。

どうやら先輩からTシャツをもらうということが、
ボート部の恒例になっているようです

先輩から後輩へ。

こんなふうに、先輩たちの思いを受け継いでいくんだなあ。



さて。
『一瞬の風になれ 第二部』です。

第一部、いかにも青春小説といった爽やかさで、
読者の心を惹きつけるのもわかるなあ、と思いながら、
正直言って物足りないと感じたのも事実です。

これからの展開がどうなっていくのか、
気になっていた第二部。

う~ん、やられました~



主人公の新二や連は2年生になります。
着実に力をつけ、インターハイの予選にも勝ち続けるふたり。

そして、400メートルリレーで県総体3位!
南関東出場が決まったというのに、
連の怪我という思わぬアクシデントが起きます。

先輩たちにとっては最後のレース。
先輩たちのために無理をしてでも走ろうとする連ですが・・・。

4人でつなぐ400メートルリレー。
その魅力とこわさがとてもよく描かれています。

走ることを通じての、人と人とのつながり。
その思いの熱さに、思わず涙が出てきました。

今まで新二と連を中心に読んできたけれど、
ひとりの天才スプリンターを迎えることになった
陸上部の顧問のみっちゃんや、
部長の守屋さんの思いに気づくと、
こういう人たちの出会いによって
選手は伸びていくんだなあ、とつくづく思いました。


レースの場面はほんとにどきどきします。
新二がレースで走る描写を読んでいると、
自分の、この重い身体までもが、
軽々とトラックを駆けぬけているような、
そんな錯覚においちります。

ほんとに、ひょい、と走れそう


3年生が引退し、いよいよ新人戦。
100メートル予選で思わぬいい走りができた新二。

このイメージを忘れないよう決勝に望みますが・・・。

むずかしいよ。一番大事なラウンドで、最高の力を出すこと。
でも、それができなければ、トップアスリートには決してなれないんだ。

先月の世界陸上でも、多くの選手が
実力を出し切れず涙をのんでいました。

どんなに厳しい練習に耐え抜いても、
だからといってレースに勝つとは限らない。
厳しい世界です。


この第二部では、競技だけではなくて、
人とのつながりということが中心に描かれています。

顧問のこと、先輩のこと、ライバルのこと、
気になる女のコのこと、そして家族のこと。

その家族に、思わぬ出来事が・・・。

みんなから、走ることから、逃げ出してしまった新二。
逃げ出さざるをえない、つらい状況に陥った新二。

彼がこの苦境をどうやって脱するのか、
ここが作家の腕の見せ所でなんしょうね。

もう、泣けちゃいましたよ~

人を慰めたり励ましたりするのが大の苦手の私には、
(いつも逆に怒らせてしまうのよね)
ああ、言葉じゃないんだな~と痛感。

小細工なんていらない。
ただ自分は、自分のやろうとしていることを、
ひたすらやり続けるだけ。

その姿が人の心を打つんですね

再び走り出した新二。
インターハイめざして、がんばれー!
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傘寿

2007-09-15 | 日々のこと。



先日、義母が80歳を迎え傘寿を祝いました。

花の好きな義母に、胡蝶蘭のプレゼント
(今の時期花屋になくて、ネットで注文して間に合いました。
 なんとも便利な世の中です)

あと二ヶ月もすれば、実家の父も80歳。

身近に超高齢化社会を実感する今日この頃です。

亡くなった義父はテニスや山歩きの好きな人でしたが、
80歳を境にあちこち体調を崩すようになりました。

入院するたび足腰が弱り、
回復に時間がかかるようになり、
少しずつ様子もおかしくなっていきました。

そのことがあったので、
80歳は節目の年、気をつけねば、
という思いがあったのですが・・・。

しっかり者だった義母も最近物忘れが激しく、
傘寿を祝いながら複雑な心境です。

いくら平均寿命が延びていっても、
心身ともに元気で長生きするということは、
なんと難しいことなのでしょう。

私自身、最近人の名前や言葉がすぐに出てこなくなって、
主人と「ほら、あれ」「そうそう、え~と」と
まるで年寄り夫婦の会話。
他人事じゃないですよね・・・


  ・・・   ・・・   ・・・


今日でブログを始めて2年が経ちました。
(もう少しで、うっかり忘れるところでしたが

日々、些細なことをつらつらブログに書いておりますが、
これからはボケ防止に役に立ってくれるかも?

これからは、せっせと頭と手足と心を使うことにしましょう。
元気なおばあちゃんめざして
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きらり

2007-09-12 | 日々のこと。
先週、子どもたちが通う高校の文化祭がありました。

幼稚園、小学校、中学校と、
行事があるたび学校へ足を運んできましたが、
高校になると平日ということもあって、
文化祭や体育祭へも行かなくなりました。

たまたま今年は主人が役員に当たってしまい
文化祭の売店のお手伝いに私が行くことになりました。



子どもたちの通う高校では、
文化祭が2日間ありその翌日が体育祭です。

文化祭の出し物は毎年決まっていて、
1年生はステージ発表(歌や踊り)、
2年生は展示発表、
3年生は演劇、
あと文化クラブの展示などです。

もちろん、一番の目玉は3年生の演劇

長女は脚本を頼まれていたので、この1年、
題材を選び、嬉々として(?)脚本を書き、
けっこうがんばっていました。
ところが、いよいよ取り掛かるという段になって、
違う物語に変更されることになりました。

クラスでいろいろあったようですが、
何度も話し合いをもち、放課後も遅くまで、休日も返上して、
みんなで最優秀賞目指してがんばっていました。

そして迎えた当日。

長女のクラスの出し物は「星の王子さま」。
前日に上演された他のクラスの劇がなかなか良かったらしく、
かなり気を揉んでいたようです。

私は売店のオバチャンをやってたので
他のクラスを見れませんでしたが、
長女のクラスはテーマもわかりやすく、
趣向を凝らし、とてもいい出来でした。

というか、生徒の手だけで、
衣装も背景もこれだけできるんだ、
とちょっとびっくりしたのでした。

私が高校生のときは体育祭のほうがメインで、
文化祭は文化部の発表とクラスの模擬店やおばけ屋敷
(それもやりたいクラスだけ)という程度でした。

各クラスごとの演劇発表となると、
かなり生徒の負担になるのだろうなあ、と想像がつきます。

しかも、受験生にとっては大切な時期。
うまくまとまるのかしら、と心配しましたが、
そこはさすがに高校生なのですねえ。

音楽、美術、PC操作などそれぞれの得意分野をいかして、
それはなかなかの出来なのでした。

がんばった甲斐があって、
長女のクラスは念願の最優秀賞

賞をとったクラスも、とれなかったクラスも、
クラス全体でひとつのことをやり遂げて、
高校生活のきらりと光る思い出となったことでしょう。

いいなー、高校生




      『星の王子さま』

子どもたちが小さいときプレゼントしたことを
すっかり忘れてたのですが、本棚で見つけました。
フランス語版は、パリへ行ったとき本屋さんで買ったもの。
もちろん、全く読んでませ~ん


  :  :  :  :  :  :  :  :  :  :


売店では冷麺、ざるそば、冷やしうどんを売りました。
いまどきの高校生のこと。
慣れなくてあたふたしてたら文句のひとつも言われるかな~と
ひやひやしていましたが、みんなカワイクて、やさしーの。

商品わたすと、ちゃんと「ありがとー」って。

でも、ウチの子たちは私のいる売店に寄り付いてくれなかった・・・


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