この週末は、久しぶりにひとりでした。
めったにないひとりの夜は、お決まりのDVD。
こういうとき観るのは、主人と一緒なら
絶対観ないであろう歴史物です(笑)
今回観たのは「ブーリン家の姉妹」。
イングランドの王ヘンリー八世をめぐって、
アンとメアリーの姉妹が繰り広げる愛と憎しみの物語。
・・・と書くとなんだか昼ドラチックですね(笑)
以前にも書きましたが、十代の頃テレビの洋画劇場で
「1000日のアン」を観てから、アン・ブーリンという
女性に興味を持ちました。
イングランドの女王という地位に上りつめながら、
断頭台の露と消えた女性。
一体どんな女性で、どんな生き方をしたのか。
この映画が封切られたとき、観たいなあと思いながらも、
なんだか王と姉妹のどろどろした三角関係の色合いが濃いようで、
DVDもあまり期待せずに見たのでした。
しかし。
史実にかなりの脚色はしてあるにしても、
ひとりの女性が、ひとりの女性の野望が、
結果的に国の歴史を変えていく過程や、
そんな大きな歴史の流れの中で描かれる
ヘンリー八世をめぐる姉妹ゆえの複雑な愛憎劇は、
充分見ごたえのあるものでした。
利口で気の強そうな姉のアンと、
家庭的で心優しい妹のメアリー。
外見も性格も違う対照的なふたりの姉妹が、
一族の富と権力のため王に差し出され、
同じような境遇にありながら、全く違った
人生を歩むことになります。
ふたりの人生の明暗を分けてしまったのは、
メアリーは心から王を愛したのに対し、
アンは王妃という地位に固執してしまったことでしょう。
この時代の女性は、結局一族の出世のための、
あるいは世継を生むための道具でしかありません。
アンは長女として(史実では姉か妹かはっきりしませんが)、
それをわかっていながら受け入れ、
積極的に利用しようとしたのでしょうか。
一方メアリーの方は、自分の心に素直で、
自分の幸せを大切にしたかっただけかもしれません。
その素直さに心打たれたヘンリー八世ですが、
結局はメアリーを捨てアンを選びます。
王の子を宿しながら、王を姉に奪われ、
城から追い出されるメアリー。
しかし、姉のため再び宮廷に仕えることになります。
女性としての感情と、妹としての感情。
・・・つらいところですね。
しかし、女王にまで上りつめ、強い女性であったアンが、
いつからか王を怯える弱い女性に変わっていきます。
断頭台に上がったアンは、もう気の強い女性ではなく、
哀れを誘います。
逆に夫を奪われ、また王からも見捨てられたメアリーが、
賢く強い女性になっていきます。
そして、アン亡き後、アンのひとり娘エリザベスを抱きかかえ、
宮廷を去っていく決然とした後姿がとても感動的でした。
結局、アンは自分で人生を切り開こうとしながら、
富と権力を求める男たちの枠組みの中で、
翻弄されただけだったのでしょうか。
一見弱い立場の女性であるメアリーの方が、
しなやかに自分の人生を選び取っていった、
そんな気もします。
まあそれにしても、洋の東西を問わず、
男たちって同じことをし、同じ間違いを犯すのですね。
この映画のヘンリー八世は、最初なかなかよかったけど、
アンに振り回され、だんだん威厳にも欠けてきます。
男子の世継のため(?)、見境もなく次々と
妻をかえていったヘンリー八世ですが、
結局、後にイングランドを治め、繁栄をもたらしたのは、
アンの娘エリザベス一世なんですよねー
「ブーリン家の姉妹」
↓
「エリザベス」
↓
「エリザベス ゴールデンエイジ」
という順で観ると、当時のイギリスの歴史が
よく理解できそうですね。