ほぼ是好日。

日々是好日、とまではいかないけれど、
今日もぼちぼちいきまひょか。
何かいいことあるかなあ。

ブーリン家の姉妹

2009-09-28 | 観ること。



この週末は、久しぶりにひとりでした。
めったにないひとりの夜は、お決まりのDVD。
こういうとき観るのは、主人と一緒なら
絶対観ないであろう歴史物です(笑)

今回観たのは「ブーリン家の姉妹」。
イングランドの王ヘンリー八世をめぐって、
アンとメアリーの姉妹が繰り広げる愛と憎しみの物語。
・・・と書くとなんだか昼ドラチックですね(笑)


以前にも書きましたが、十代の頃テレビの洋画劇場で
「1000日のアン」を観てから、アン・ブーリンという
女性に興味を持ちました。
イングランドの女王という地位に上りつめながら、
断頭台の露と消えた女性。
一体どんな女性で、どんな生き方をしたのか。

この映画が封切られたとき、観たいなあと思いながらも、
なんだか王と姉妹のどろどろした三角関係の色合いが濃いようで、
DVDもあまり期待せずに見たのでした。

しかし。
史実にかなりの脚色はしてあるにしても、
ひとりの女性が、ひとりの女性の野望が、
結果的に国の歴史を変えていく過程や、
そんな大きな歴史の流れの中で描かれる
ヘンリー八世をめぐる姉妹ゆえの複雑な愛憎劇は、
充分見ごたえのあるものでした。

利口で気の強そうな姉のアンと、
家庭的で心優しい妹のメアリー。
外見も性格も違う対照的なふたりの姉妹が、
一族の富と権力のため王に差し出され、
同じような境遇にありながら、全く違った
人生を歩むことになります。

ふたりの人生の明暗を分けてしまったのは、
メアリーは心から王を愛したのに対し、
アンは王妃という地位に固執してしまったことでしょう。

この時代の女性は、結局一族の出世のための、
あるいは世継を生むための道具でしかありません。
アンは長女として(史実では姉か妹かはっきりしませんが)、
それをわかっていながら受け入れ、
積極的に利用しようとしたのでしょうか。

一方メアリーの方は、自分の心に素直で、
自分の幸せを大切にしたかっただけかもしれません。
その素直さに心打たれたヘンリー八世ですが、
結局はメアリーを捨てアンを選びます。

王の子を宿しながら、王を姉に奪われ、
城から追い出されるメアリー。
しかし、姉のため再び宮廷に仕えることになります。
女性としての感情と、妹としての感情。
・・・つらいところですね。

しかし、女王にまで上りつめ、強い女性であったアンが、
いつからか王を怯える弱い女性に変わっていきます。
断頭台に上がったアンは、もう気の強い女性ではなく、
哀れを誘います。
逆に夫を奪われ、また王からも見捨てられたメアリーが、
賢く強い女性になっていきます。
そして、アン亡き後、アンのひとり娘エリザベスを抱きかかえ、
宮廷を去っていく決然とした後姿がとても感動的でした。

結局、アンは自分で人生を切り開こうとしながら、
富と権力を求める男たちの枠組みの中で、
翻弄されただけだったのでしょうか。
一見弱い立場の女性であるメアリーの方が、
しなやかに自分の人生を選び取っていった、
そんな気もします。

まあそれにしても、洋の東西を問わず、
男たちって同じことをし、同じ間違いを犯すのですね。
この映画のヘンリー八世は、最初なかなかよかったけど、
アンに振り回され、だんだん威厳にも欠けてきます。
男子の世継のため(?)、見境もなく次々と
妻をかえていったヘンリー八世ですが、
結局、後にイングランドを治め、繁栄をもたらしたのは、
アンの娘エリザベス一世なんですよねー

「ブーリン家の姉妹」
    ↓
「エリザベス」
    ↓
「エリザベス ゴールデンエイジ」
という順で観ると、当時のイギリスの歴史が
よく理解できそうですね。
コメント (4)
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神去なあなあ日常

2009-09-23 | 読むこと。

  『神去なあなあ日常』
    三浦 しをん


新聞の書評を読んで、夏休み前に図書館にリクエスト。
8人待ちでしたが、先日ようやく順番がまわってきました。


奇妙なタイトルですが、ひょんなことから
林業に就職するハメになった男子の話です。
まず、えっ、林業!?って驚きますよね。
いまどきの男の子がリンギョー、まさかね、って。
本人がマジかよ~って思ってるくらいですから(笑)

横浜から、遊ぶところもコンビニもない、ケータイも通じない
三重県の山奥、神去村で林業に就職させられた少年の物語です。
ここから何とか逃げ出したい、と思ってた主人公勇気が、
林業に携わることによって、戸惑いながらも徐々に
山や村の人々との暮らしに馴染んでいく姿が描かれています。
林業の大変さ、凄さ、そして山の不思議さ、奥深さは、
勇気の体験を通じて、そのままストレートに読者にも伝わってきます。

そんな彼を厳しく、そして暖かく支えてくれる村の人たち。
それぞれがとても個性的かつ魅力的に描かれています。
勇気に林業を叩き込むのは、斧一本で自由自在に木を切り出す、
山仕事の天才のようなヨキ。
若いながらも広大な山林を持ち林業を経営する、
冷静でどっしりしたおやかたの精一さん。
一緒に働く、林業のエキスパート巌さんに三郎さん。
それに、男勝りでそっけないけど、魅力的で勇気の憧れの女性直紀さんや
ユニークな存在の繁ばあちゃん。

一般的にみれば「斜陽産業」の代表ともいえる林業ですが、
そこで生きる人たちは、誰もが山で生きることに誇りを持ち、
こんな現代においてさえ、山を敬い、山の神さまが生活の中に
自然と溶け込んでいることに驚かされます。


この物語のクライマックスはなんといっても、
48年に一度行われるオオヤマヅミさん(神去山の神さま)の大祭。
巨大な千年杉を切り出し、村の男総出で山奥から滑らせて、
ふもとまで一気に下ろしていきます。
その巨木に荒縄を巻き、それをつかんで男たちが
山から滑り落ちる描写は豪快そのもの。
村人からよそ者扱いされていた勇気も、命知らずのこの祭に
逃げ出したいと思いながらも、みんなと一緒に
命からがら滑り落ちていきます。

以前ニュースで、切り出した木に乗って滑り落ちる
諏訪の御柱祭の様子を見たことがありますが、
それを、山の頂上近くからするというのですから、
まあ、無茶なことこの上ないですね(笑)

この小説の中には、山で暮らす人々の、都会人にはわからない
山に対する思いというものがとても強く感じられますが、
なかでもこの祭は、古来から綿々と受け継がれている、
文化というか宗教というか、何か根源的なものを感じました。

そして、勇気はこの祭で不思議な体験をします。
山の神秘を垣間見た、とでも言ったらいいでしょうか。
それが読者に違和感なく伝わってくる、というのが、
この物語で知った山の不思議さなのでしょうね。

タイトルになっている「なあなあ」というのは、
神去村の言葉で「ゆっくり行こう」「まあ落ち着け」
というニュアンスなんだそうです。
山という大自然の中で、林業という百年単位で暮らす人々の、
生きるの知恵のような言葉ですね。

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この夏の行方

2009-09-11 | 日々のこと。
朝晩は肌寒いほどになり、すっかり秋めいてきました。

天候不順だったこの夏。
受験生を持つ母親として、ひたすら目の前の課題を
ひとつひとつこなしてきた、そんな夏でした・・・。

まっ、そんな大げさなものでもありませんが、
ブログの更新をする心の余裕がなかったのは事実です(笑)


何十年か前、私もひとりの受験生として、しんどい夏を
過ごしました・・・過ごしたはずです・・・たぶん。
エアコンのきいた図書館で、日本史やってたことくらいしか
覚えていませんけど(笑)

長女のときも感じましたが、受験って、よっぽど
自分のときのほうがラク。
まあ、子どもの受験のしんどいこと!

私たちのころと違って、今はオープンキャンパスというものがあり、
夏休みになると、今週はあっちの大学、次はこっちの大学へ、と
次女と一緒に出かけます。
旅行気分ではあるけれど、年のせいかやはりしんどい。
これが京都くらいならいいのですが、遠くになると
交通手段を考えたり、切符を手配したり、
事前に近辺の情報を調べたりしなくてはいけないし。

また、今は受験の選択肢もふえ、AO、推薦、一般入試の中から
自分にあった方法を選ばなければなりません。
推薦というと「すべり止め」のイメージしかなかった私は、
長女のとき国公立でも推薦で入れると知って驚きました。
推薦にも、いろいろあるのですねー
AOにいたっては、一体何のことやねん、ってくらい無知でした(笑)
はい、私もいろいろ勉強になりました。


一番大変なのは、なんと言っても受験生である
子どもの健康管理とサポートです。
夏休みになってもまだ部活やってるのは、
ほとんどスポーツ推薦で受験するコたち。
そんな彼ら彼女らは、だいたい行き先も決まってきます。

ところが、スポーツ推薦で入りたくない、と言う次女は
まだ志望大学すら決まらず、肉体的な疲れに、
焦りやプレッシャーなど、様々な精神的負担が加わってくるんですよね。
「どうしよ~」と弱気になったり、
こちらの何気ない一言で突然キレたり。
私も(一応)愚痴を聞いたり気を使う一方で、
疲れがたまってイライラしてくると、つい余計なことを言ってしまい、
結局あまりサポートできてなかったかも・・・


そんなこんなの夏も終わり、次女の進路もぼちぼち
決まりかけてきました。
まあ、親の思い通りにはなかなかいかないもので、
思いもよらぬ展開になってしまいそうな気配ですが(苦笑)

次女の前に何本もの道が分かれていて、
この夏の決断によって進むべき道が決定してしまった、
(だから、たどり着く場所も変わってしまった)
大げさかもしれないけれど、そんな感じがしています。

これから出会うであろう人たち。
これから起こるであろう出来事。
今後の人生。
それらが、この夏で決まってしまった、という思いかな。
本人も、数年後、数十年後に思い返したとき、
この夏が大きな分岐点だった、とそう思うのではないでしょうか。

あと半月もすれば国体が始まります。
次女の最後の試合。
これで、心置きなく全力を出し切ってくれると思います。



  ・・・   ・・・   ・・・



↓この夏、記事にするつもりで、結局ボツになった写真(笑)



久しぶりに家族揃って海へ行き、さざえや焼き鳥を焼いたのでした。
唯一の夏の思い出?
コメント (2)
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