『朝びらき丸東の海へ』
ナルニア国ものがたり3
C.S.ルイス 作
年末に忙しいながらも『カスピアン王子のつのぶえ』を少しずつ読み進み、今年に入ってようやくこの『朝びらき丸東の海へ』まで読み終えました。
一度挫折しているので、ここまできてやれやれです
ナルニアからこの世界にもどって1年。再びつのぶえで呼び戻されたピーター、スーザン、エドマンド、ルーシィの4人ですが、ナルニアはすっかり変わり果てていました。しかし、王位を奪った伯父から命を狙われているカスピアン王子を助け、再びナルニアをよみがえらせます。
そしてこの『朝びらき丸東の海へ』では、4人のうちエドマンドとルーシィ、そしていとこのユースチスが、カスピアン王子とともに、伯父の時代に追い払われ行方不明になったままの7人を探しに、東の海へと大冒険にでかけるのです。
今回3人がナルニアに戻ったのは、なんとユースチスの家に飾ってあった1枚の船の絵からなんです!『ライオンと魔女』では衣装ダンスから、『カスピアン王子のつのぶえ』では、カスピアンの吹くつのぶえに呼ばれて、と毎回趣向がこらしてあって、今度はどんなふうにナルニアに行くのだろう、とわくわくしてしまいます。
この物語では、まだ誰も行ったことのない東のはての海への旅ということで、不思議な島々がたくさん出てきました。今だと宇宙船に乗って未知の星へ、ということになるのでしょうが、まだ海の向こうが謎に満ちていた時代を思い、ロマンをかりたてられます。
私が小さい頃、「シンドバッドの冒険」というアニメ映画がありました。絵もストーリーも、普段テレビで見ていたアニメと違い異国情緒たっぷりで、子供心に不思議な雰囲気を感じました。内容もはらはらどきどき、小さい私にはとても怖かったような気がします(いつの時代のことでしょうねえ)。そんなことを思い出しました。
登場人物もそれぞれ個性的です。ルーシィはもちろん、エドマンドもすっかり良い子になっていますが、今回登場したユースチスはどうしようもなく憎たらしい小僧・・・だったんです。ところが、この冒険でいろんな目に遭って(大変な思いもして)変わっていきます。ナルニアでは、エドマンドのときもそうでしたが、こういうところがけっこうシビアでドキッとします。もし私が子どもの頃これを読んでいたら、こんな私もいつかはいい子になれるかもしれない、なんて救われた気分になったことでしょうね
もうひとり(一匹?)この物語に重要な役割を果たしているのが、ネズミ(といってもただのネズミではありませんよ)のリーピチープでしょう。冒険好きで勇敢なリーピチープ。彼がいなかったら、この冒険のおもしろさも半減していたことでしょうね。
この物語は映画化されたら見どころがたくさんありそうです。
奴隷市場で売られそうになったり、竜がでてきたり、おそろしい「死水島」に「くらやみ島」、そうそう「のうなしあんよ」もどんなふうになるのか見てみたいものです。そして最後に出てくる「この世のいやはて」。どんな美しい世界が描きだされるのでしょう。楽しみです。わくわく
最近こちらの(わたしのまわりの)世界では、うんざりすることが多いのですが、本を開けば別世界。楽しいことや冒険が待っています。あ~、これって典型的な現実逃避・・・