flow Trip -archive-

「漂い紀行 振り返り版」…私の過去の踏査ノートから… 言い伝えに秘められた歴史を訪ねて

弥勒寺跡

2016-05-20 00:00:00 | ほとけのいおり
(愛知県宝飯郡御津町豊沢字弥勒寺 町指定史跡 1999年2月14日再訪)
 御津川沿いの蜜柑畑に白鳳時代とされる寺院の跡がある。平成3年から度々この地を踏査し、飛鳥時代後期以降の布目瓦や須恵器、土師器、灰釉陶器、中世陶器の他、埴輪の突帯と推定する破片を採集した。付近にはかつて古墳があったのかもしれない。寺跡である蜜柑畑の片隅には自然石の墓碑があり、墓表だけが削られていて、「寂光院真誉道悦大法居士山伏塚」と刻まれいる。この墓碑には年号が見受けられないが、文明十一年(1479)隣村広石村新宮山に開山した大運寺(後の御津山大恩寺)の二世住持以降は全て号に「誉」が付いており、関連性が伺える。また、苗畑には露出部分が72cmの墓石状のものがあり、その前には直径17cm,高さ10.5cmの五輪塔の塔身のようなものが置かれていた。その塔身とみられる石の、下の地輪に差し込む穴と、上の笠石を差し込む軸がない。また、梵字等もみられない点を考慮すると、意外と古い時期の可能性もある。平安時代には堂の落成や仏像開眼時に供養のため造立された例もあるので、その一部なのかもしれない。
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