小説「新・人間革命」
【「聖教新聞」 2014年 11月29日(土)より転載】
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【広宣譜11】
聖教新聞紙上に「教学上の基本問題について」が発表された六月三十日の夜のことである。学生部結成二十一周年を祝賀する記念幹部会が、東京・荒川文化会館で盛大に開催された。
参加者のなかには、学生部が結成された一九五七年(昭和三十二年)に生まれたメンバーも少なくなかった。集った学生たちは皆、学生部の誕生は、師の山本伸一が権力の魔性との激しい攻防戦を展開している渦中であったことに、深い意義を見いだしていた。
人間を抑圧し、支配しようとする、あらゆる権力の魔性との、壮絶なる永遠の闘争――それが広宣流布の道である。
創価の学徒たちは、伸一の魂を受け継ぎ、民衆を守り、広宣流布の先駆の使命を果たし抜こうとの決意に燃えていた。
司会が記念幹部会の開会を宣言すると、雷鳴のような大拍手が場内を包んだ。
学生部書記長の押山和人、女子学生局長の町野優子のあいさつに続いて、学生部長の浅田茂雄が登壇した。
浅田は、会長の伸一が、全精魂を注いで、新学生部歌「広布に走れ」を作詞作曲してくれたことを述べたあと、歌の完成にいたるまでの経過を語っていった。
「先月の六月度学生部幹部会で、新学生部歌の制作を発表したところ、全国各地から、多くの歌詞が寄せられました。なかには、六十六歳になる婦人が寄せてくださった歌詞もありました。そうした皆様方の情熱と真心に支えられ、制作委員会のメンバーが一丸となって歌の案を作り上げました。しかし、まだ非常に検討の余地のあるものでした。
一昨日、この案をお持ちし、山本先生にご覧いただきましたところ、先生は、『私が歌を作って、諸君に贈ります。みんなのために、後世に残る学生部歌を作ってあげたいんだ』と言われ、その場で作詞してくださいました。そして、何度も推敲され、お忙しい合間を縫って、作曲もしてくださいました!」
誰もが、伸一の深い思いを感じた。
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