それなりの ノタリ

地域活動がそれなりにやることがあって、かと言って、多忙というほどでもなく、ノタリの生活。

【月影の道~~小説 新島 八重】を読む

2012年12月23日 | 再開(読書)

12月10日(日)の地元紙朝刊の「ほっかいどうの本」という欄に、この本(文春文庫)が
紹介されていた。  早速、Amazonに注文して取り寄せた。

しかし、著者の蜂谷 涼(女性)が小樽出身・在住というだけで、
主人公は、来年のNHK大河ドラマの【八重の桜】の新島 八重である。

新島 八重は、会津の武家に生まれ、戊辰戦争では銃を片手に男装で
篭城戦に加わり、明治維新後は、キリスト教流の教育を旨とする
同志社の創立者・新島 襄の夫人となり(2回目の結婚)、
日清・日露戦争では篤志看護婦として従軍した。

幕末のジャンヌダルク、ハンサムウーマン、日本のナイチンゲールと、
様々な呼び名を持つ女性だ。

これまで大きく注目を浴びることがなかった八重だが、著者・蜂谷 涼は10年前から
このテーマを温めていた、と聞く。 戦に敗れ、親兄弟や親友を失い、不条理に
逆賊だの朝敵だのと虐げられ、流浪の憂き目にあった体験は、
激しい怒りとなって八重の心に重くのしかかり続ける。

癒えることのない怒りと哀しみを抱えながら、人は人としてどう生きていくのか、
といったことを思い知らされた卓越した文庫本だった。

来年の大河ドラマが楽しみだ。


文春文庫 630円